最高裁判所第二小法廷 昭和33(オ)632 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人菅原勇の上告理由第一点について。
被上告人の本訴請求は、所有権に基き不法占有者たる上告人に対し本訴物件の引
渡を求めるにあり、上告人はこれに対し、右物件は昭和一九年七月被上告人から買
受けたものである旨および仮にそうでなくても本訴物件の保存修理に要した費用の
支払を受けるまではこれを留置する権利がある旨主張抗争しているにすぎない。そ
して、原審は、上告人の占有にかかる本訴物件は従前から被上告人の所有に属し、
上告人においてこれを買受けた事実を認め難い旨判断したのであるから、留置権の
抗弁が後記(上告理由第二点に対する説示参照)のように理由がない以上、被上告
人の請求を認容すべきが当然であつて、所論委託契約の成立および終了に関する原
判示は無用の判示というべきである。
それ故、右無用の判示につき、たとえ所論のような違法があつたとしても、原判
決の結果に何ら影響を及ぼすものではなく、論旨は採用のかぎりでない。
同第二点について。
上告人の本訴物件買受の主張は原審の認めないところであり、他に右物件占有の
権原につき別段の主張はないから、原判決が所論修理費償還請求権をもつて不法占
有中に生じたものとし、これにつき留置権の成立を認めなかつたのは正当であつて、
論旨は理由がない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第二小法廷
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裁判長裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 池 田 克
裁判官 河 村 大 助
裁判官 奥 野 健 一
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