大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和34(あ)1381 判決

主 文

原判決中「当審の未決勾留日数中一〇〇日を原判決の懲役刑に算入する」

との部分を破棄する。

その余の部分に対する検察官の本件上告を棄却する。

被告人の本件上告を棄却する。

理 由

福岡高等検察庁検事長草鹿浅之介の上告趣意について。

原判決当時までの記録によれば、被告人は本件につき起訴前の昭和三三年四月三

日勾留状の発布執行を受け、爾来第一審並びに原審を通じて勾留を継続されている

ものであるが、これよりさき、被告人は昭和三二年一〇月三日前原簡易裁判所にお

いて窃盗罪により懲役一年の言渡を受け右判決は昭和三三年七月八日確定したので

同年八月四日から右刑の執行を受けていたものであるところ、第一審福岡簡易裁判

所は同年一二月二五日本件につき被告人を懲役一年二月および罰金一〇〇〇〇円に

処し未決勾留日数中七〇日を右懲役刑に算入する旨判決し、被告人は右判決に対し

翌二六日控訴を由立て、原審はこれに対し昭和三四年七月一〇日控訴を棄却すると

ともに原審の未決勾留日数中一〇〇日を第一審判決の本刑に算入する旨の判決を言

渡したものであることが明認できる。さすれば原判決は原審における未決勾留の全

期間が前示確定刑の執行と重複執行されていたにもかかわらず、これを前示のごと

く第一審判決の本刑に算入する旨言渡したものであること明らかである。右のよう

に刑の執行と勾留状の執行とが競合している場合には懲役刑の執行としては一個の

拘禁のみが存在するものと解すべく、重複する未決勾留日数を本刑に算入すること

は不当に被告人に利益を与えることとなり刑法二一条の適用を誤つた違法があるこ

とは引用の当裁判所大法廷判決の示すとおりである。

よつて刑訴四〇五条二号、四一〇条一項本文、四一三条但書により、原判決中「

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当審の未決勾留日数中一〇〇日を原判決の懲役刑に算入する」との部分を破棄し、

その未決勾留日数を算入しないものとし、その余の部分に対する上告は、上告趣意

として何ら主張がなく従つてその理由がないことに帰するから同四一四条、三九六

条により主文一項のとおり右上告を棄却すべきものとする。

被告人および弁護人諌山博の各上告趣意について。

所論はいずれも事実誤認の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。ま

た記録を調べても所論の違法は認められない。よつて同四一四条、三九六条により

主文三項のとおり被告人の本件上告を棄却すべきものとする。

よつて裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

検察官 上田次郎出席

昭和三四年一一月一三日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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