大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和34(オ)165 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人木村順次郎の上告理由第一点、同第二点について。

原審は証拠上、判示合名会社と同株式会社との間の家屋売買は昭和二二年一月頃

解除された等の事実を認定し、本件家屋所有権は一度も株式会社に移転したことは

なかつた旨判示しているのであり、かつ、かりに株式会社が家屋所有権を取得した

としても、上告人は右解除後二年余を経た後である昭和二四年四月中に賃借権を譲

受けたものであるから、右賃借権を以ては被上告人に対抗できないと判断している

のであつて、上告人が所論訴訟係属の事実を知つていたかどうか又は当時株式会社

が右家屋を占有中であつたかどうかに拘わりなく、原審が上告人の本件家屋賃借権

を否定した判断は相当であり、借家法云々の論旨は原審で主張判断のないところに

かかり採用できない。(のみならず借家法一条の場合は権限ある賃貸人から賃貸借

がなされている場合でなければならないに拘らず、本件の場合は無権限者との間に

なされた賃貸借であるから同条適用の限りでない。)なお論旨は合名会社と株式会

社間の別件訴訟が何時確定したか、又上告人が本件家屋の引渡を受けたのは何時か

判断していないのは審理不尽であるというが、かかる事実は原判決に影響のないと

ころであることは、右説示によりあきらかである。

同第三点について。

原判決は、所論の点については、被上告人が本訴提起前本件家屋が判示合名会社

に属することを主張したのは事実に反し錯誤によるものであるとし、被上告人が本

訴において右家屋は自己の所有であると主張することは信義則に反せず、禁反言の

原則に反しないと判示しているのであつて、この点につき所論のごとき違法ありと

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することはできない。

同第四点について。

原判決は上告人に対し、上告人が本件家屋の占有を始めた後である昭和二五年六

月一日からの賃料相当額の損害金の支払を命じているのであり、被上告人主張にか

かる同年五月末頃被上告人は上告人に対し右家屋の明渡を請求したとの事実は上告

人も明らかに争わないところであるから、原判決が判示諸般の事情を参酌して同年

六月一日以降、上告人の右家屋占拠についでは過失あるものと判定したことをもつ

て所論のごとく違法であるとすることはできない。�

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

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