大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和34(オ)723 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人岡本共次郎の上告理由第一点について。

原判決によれば、(一)本件建物はもと訴外Dの所有であつたこと(二)被上告

人(原告)の先代Eは売買予約を原因として昭和三〇年一二月一六日所有権移転請

求権保全の仮登記を経由したこと(三)訴外債権者Fは昭和三一年五月一五日右建

物に抵当権取得の登記を経由したこと(四)昭和三一年八月一四日右抵当権実行に

よる競売開始がなされたこと(五)被上告人先代Eは昭和三一年八月一八日前記(

二)の仮登記にもとづく所有権移転の本登記を経由したこと(六)昭和三二年二月

二〇日前記(四)の競売により競落許可決定がなされ、これにもとづいて同年四月

三〇日上告人(被告)のため所有権移転の登記がなされ、かつ前記(二)の仮登記

及び(五)の本登記が抹消されたこと等の各事実が確定されたことは判文上明らか

である。

ところで不動産登記法第七条二項が、仮登記を為した場合には、本登記の順位は、

仮登記の順位によるべき旨を規定し、請求権保全の仮登記についても、ひとしく、

順位保全の効力が認められているものであるところ、本件の如き、所有権移転請求

権保全の仮登記において、保全される請求権が実現して、所有権取得の本登記が経

由された場合においては、その本登記の内容と牴触する中間の処分は、その処分の

登記が本登記内容の実現した前であると後であるとに、かかわることなく、本登記

権利者に対しては、その効力を有しないものと解するを相当とする。本件において、

前記(二)の仮登記とその本登記との間に、登記された前記(三)の抵当権は、前

記(二)の仮登記によつて保全された請求権の目的たる所有権と牴触するものであ

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ること明らかであるから、右抵当権の設定は、本登記権利者たる被上告人先代に対

する関係においては無効に帰し、爾後の競売手続も続行し得ざるものであり、上告

人は競落許可決定によつて本件建物の所有権を取得するに由ないものといわなけれ

ばならない。以上と同趣旨の判断の下に、上告人に対し前記(六)の所有権移転登

記の抹消登記手続並に仮登記及び本登記の各回復登記手続を求める被上告人(先代

Eの相続人)の請求を認容した原判決は正当であつて、所論は採用できない。

同第二点について。

本件建物は被上告人が他の共同相続人とともに共有しているものであるとしても、

本件の如き回復登記及び抹消登記の請求は、ともに保存行為として、各共有者は単

独でこれをなし得るものと解すべきであつて、此点に関する原判示も正当である。

所論はとるを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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