大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和35(あ)2108 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人石川元也の上告趣意第一点について。

所論は、違憲をいうが実質は単なる訴訟法違反の主張であつて刑訴四〇五条の上

告理由に当らない。

なお、論旨は原判決の刑訴二五五条一項の解釈を非難するけれども、同項前段の

「犯人が国外にいる場合」は、同項後段の「犯人が逃げ隠れている」場合と異り、

公訴時効の進行停止につき、起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができな

かつたことを前提要件とするものでないことは、規定の明文上疑いを容れないとこ

ろであり、また犯人が国外にいる場合は、捜査官において犯罪の発生またはその犯

人を知ると否とを問わず、犯人の国外にいる期間公訴時効の進行を停止するものと

解すべきことは、当裁判所の判例(昭和三五年(あ)第七三五号同三七年九月一八

日第三小法廷判決)の示すところであつて、これと同趣旨にいでた所論原判示は相

当である。

同第二点について。

所論は、違憲をいうが実質は単なる訴訟法違反の主張であつて刑訴四〇五条の上

告理由に当らない。

なお、論旨は原判決が第一審の免訴判決を破棄して自判により有罪の言渡をする

に当り、弁護人が第一審において行つた(一)出入国管理令の違憲性、(二)本件

行為の正当行為ないし期待可能性の不存在の各主張に対して何等の判断を示してい

ないことが刑訴三三五条二項に違反するというのである。原判決が第一審における

弁護人の右主張に対して特に判断を示していないことは所論のとおりであるが、仮

にこの点において原判決が刑訴三三五条二項に違反するとしても、原審が本件に適

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用した出入国管理令六〇条二項が憲法二二条二項に違反しないことは、後記論旨第

三点に対する判示のとおりであり、また本件行為が正当行為ないし期待可能性のな

い行為と認められないことは、後記論旨第四点に対する判示のとおりであるから、

所論の違法は、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとは認められない。

同第三点について。

所論は、出入国管理令六〇条二項は、旅券法一三条一項五号の規定と相まつて憲

法二二条二項に違反すると主張するが、旅券法一三条一項五号及び出入国管理令六

〇条がいずれも憲法二二条二項に違反しないことは、当裁判所大法廷の判決(前者

につき昭和二九年(オ)第八九八号同三三年九月一〇日判決後者につき昭和三四年

(あ)第一六七八号同三七年一一月二八日判決)の示すところであるから、所論は

採るを得ない。

同第四点について。

所論はをいうが、実質は単なる法令違反の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由

に当らない。

なお、所論訴訟伝違反の主張については、論旨第二点に対して判示したとおりで

あり、また正当行為または期待可能性不存在の主張は、弁護人独自の見解を前提と

するものであるばかりでなく、所論の如き事情は、未だ正当性または期待可能性な

しとする事由とはいえない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて刑訴四一四条、三九六条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決

する。

裁判官藤田八郎は退官につき評議に関与しない。

検察官片岡平太出席

昭和三八年一月二五日

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最高裁判所第二小法廷

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

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