最高裁判所第二小法廷 昭和35(オ)1024 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告人代理人佐藤茂、同斎藤素雄の上告理由第一について。
原判決の理由不備をいう所論は、原判示を正解しないことによるものであつて採
用できない。
同第二について。
所論は、原審裁判長裁判官二宮節二郎が原判決原本作成に関与しない疑があると
して、これを前提とする民訴法三九五条一項一号の上告理由を云為するが、記録に
徴すれば、所論判決正本の裁判長裁判官大沢博の記名は裁判長裁判官二宮節二郎の
誤記であつて、右誤記は既に訂正された上、改めて当事者に正本送達がなされてい
ることが認められ、原判決の原本にはもともと右二宮裁判長が他の構成員とともに
署名捺印していることが明らかであるから、原判決に所論違法はない。よつて、論
旨は採用できない。
同第三について。
所論は、上告人と被上告人との間に原判示準消費貸借をなす効果意思の合致がな
いことを以て原判決の違法をいうが、論旨は、ひつきよう原審の適法になした証拠
の取捨判断、事実の認定を非難するに帰着し、採用できない。
同第四について。
準消費貸借の成立を認定判示するにあたつて、その目的たる既存債務の内容を特
定すべきことは、正に所論のとおりであるが、準消費貸借の目的が手形金債務であ
る場合、必しもその特定に手形要件をすべて明示しなければならない理はない。本
件において、訴外合名会社が訴外Dに金融を得させる目的で金額三二万円の約束手
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形一通を振り出し交付したこと、被上告人が右手形の割引をなし、右Dより右手形
の譲渡を受け所持人として満期に支払呈示をなしたが支払を拒絶されたばかりでな
く右訴外会社からDを通じて右手形の返還を求められたこと、そこで被上告人は昭
和三〇年一〇月七日Dを介して右訴外会社との間に右手形金三二万円を目的とする
準消費貸借契約を結んで当該手形を右訴外会社に返還したことを原判決が認定判示
している以上、これをもつて本件準消費貸借の目的たる既存手形金債務は十分に特
定判示されているものというべく、従つて、原判決に民法五八八条適用の誤ありと
する所論は、採用できない。�
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判員全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第二法廷
裁判長裁判官 池 田 克
裁判官 河 村 大 助
裁判官 奥 野 健 一
裁判官 山 田 作 之 助
裁判官 草 鹿 浅 之 介
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