大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和35(オ)405 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人岩沢誠、同藤井正章の上告理由第一点について

訴外Dが発行した所論内容証明郵便が本件土地に隣接せる上告人Aの賃借地五六

坪に関するものであることは原審の確定したところである。されば、右郵便が本件

土地の売却申込であることを理由とする上告人らの主張は、すでにこの点において

失当であり、右郵便が売却申込であるか申込の誘引であるかは原判決に影響のない

判断というべきであるから、右郵便を申込の誘引であるとした原審の判断説示に対

する非難を主旨とする所論は採用できない。

同第二点について

一について 原審は、挙示の証拠に基づき、本件土地の賃貸借は、目的土地が空

地である間だけ、家庭菜園などとして使用する目的で、かつ、所有者たるDにおい

て本件土地を他に売却し明渡を要求したならば直ちに明け渡すとの特約のもとに成

立したものである旨の事実を認定したのであり、前掲証拠中所論の指摘する各証拠

(ただし所論のいわゆる「証人Eの第一審の証言」とは乙第一二号証の一、二の同

人の供述記載を指すと解される)は、いずれも、右認定に添う事実関係の記載もし

くは供述を包含しており、原審がこれらの証拠を採つてもつて右認定の資料とした

ことは経験則上なんら異例と目すべきではない。所論乙第七号証の記載はいまだ右

認定を経験則違背と断ずるに足る内容を有するものとは認め難い。よつて所論は採

用できない。

二 前段について 原審の認定した事実によると、上告人らはなんらの権原なく

して被上告人所有の本件土地を占有する不法占有者ということになる。不法占有者

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は民法一七七条にいう「第三者」に該当せず、これに対しては登記がなくても所有

権の取得を対抗しうるものであること当裁判所の判例とするところである(昭和二

四年(オ)第二九六号同二五年一二月一九日言渡第三小法廷判決、民集四巻一二号

六六〇頁参照)。されば原審が被上告人の本件土地の所有権取得登記の効力に関す

る上告人らの主張につき判断を加えることなく被上告人の請求を認容したことは正

当であつて、所論のごとき違法はない。所論は採用できない。

二 後段について 所論乙第八号証の内容証明郵便が本件土地に隣接せる上告人

Aの賃借地五六坪に関するものであることはさきに上告理由第一点に対して説示し

たとおりである。しかるに、所論は同号証が本件土地に関するものであるとの前提

に立つて、原判決を非難するものであり、採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

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