大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和35(オ)998 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人白井源喜の上告理由第一点について。

物の所有者からその物に対する占有の権限を伝来したと主張する占有者は、その

権利の前主たる所有者に対しては民法一八八条の権利推定を援用し得ないものと解

すべきであり、さらに、この理は所有者の包括承継人に対する関係においても同様

であつて、かかる占有者は包括承継人に対して同条の権利推定を援用し得ないもの

と解するを相当とする。従つて、Dから本件動産の所有権を取得したと主張してこ

れを占有する上告人は、Dの包括承継人である被上告人らに対し、自己の所有権取

得につき右の権利推定を援用し得ないのである。所論は、ひつきよう、独自の見解

により、または、原審の専権に属する証拠の取捨判断を争い、原判決の事実認定を

非難するものであつて(論旨引用の大審院判決は本件に適切でない)、採用するを

得ない。

同第二点について。

民法一九二条は処分権限のない動産の占有者を権利者であると誤信して取引した

相手方を保護しようとするものであるから、同条は相手方が前主より占有を承継し

た場合にのみ適用があると解するのが相当である。従つて、右と同趣旨の理由から

上告人の右同条による本件動産の所有権取得を認めなかつた原判決は正当である(

なお、原判決は何ら所論寄託契約の成立を認定しているわけではない)。所論は、

独自の見解により、または、原判決を正解しないでこれを非難するものであつて(

論旨引用の大審院判決は本件に適切でない)、採用するを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い裁判官全員の一致で、主文のとお

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り判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

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