最高裁判所第二小法廷 昭和36(あ)1905 判決
主 文
本件各上告を棄却する。
理 由
被告人両名の弁護人竹沢哲夫、同秋山昭一の上告趣意第一点について。
しかし日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づ
く施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う
関税法等の臨時特例に関する法律(昭和二七年法律一一二号)一二条一項は、合衆
国軍隊等以外の者が、合衆国軍隊の公認調達機関、軍人用販売機関等から免税物品
の譲受を日本国内においてしようとするときは、当該譲受を輸入とみなし、関税法、
関税定率法及び輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律……を適用する旨
定めており、又右輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律(昭和三七年法
律四八号による改正前のもの)三条は、内国消費税課税物品を保税地域以外の場所
から輸入する場合には、その輸入を保税地域からの引取とみなして酒税法等の規定
を適用する旨定めている。そして右輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法
律三条にいう「酒税法等」は、その一条にいう「酒税法等」と同意義であり、その
うちには物品税法(昭和一五年法律四〇号)も含まれていること原判示のとおりで
ある。従つて本件の如き違反行為に対しては、右物品税法の罰則規定が適用される
ことは右輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律三条の規定に照し疑をい
れないところである。所論は同法一条が「この法律は酒税法、砂糖消費税法、物品
税法……の規定において定めるもののほか、輸入する物品に対する内国消費税の賦
課、徴収及び免除等について定めるものとする」と規定しているところから、たと
え同法三条の「酒税法等」のうちに物品税法が含まれ、従つてその適用があるとし
ても、その適用される範囲は、右一条の規定により、物品税の賦課、徴収及び免除
等に限られ、その罰則規定までも含まれるものではないと前提し、その前提の下に、
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本件被告人等の所為に右物品税法一八条一項二号を適用処断した原判決は憲法三一
条に違反するというにあるけれども、所論のとる前提自体、独自の見解であつて、
その採るを得ないものであること既に説明したところから明らかである。従つて所
論違憲の主張はその前提を欠くものであつて適法な上告理由に当らない。
同第二点について。
所論のうちには判例違反をいう点があるが、刑訴四〇五条にいう「判例と相反す
る判断をした」というためには、その判例と相反する法律判断が原判決に示されて
いるのでなければならない(昭和二八年(あ)第一九三号、同三〇年二月一八日第
二小法廷判決、集九巻二号三三二頁)ところ、原判決は、証拠により、被告人等は、
免税特権を有する駐日米国軍人を利用して、これを自己の手足として判示各免税物
品を購入し以つて不正行為により判示各関税、物品税を免れたものと認定し、右米
国軍人との共謀を否定したのに対し、所論引用の判例は、類似の事案において、関
係証拠により、当該被告人と利用された米国軍人との共謀を認めたものであり、原
判決と所論引用の判例とは、証拠による事実認定に差異があるにすぎず、原判決は
所論引用の判例と相反する法律判断を示しているわけではないのであるから、所論
判例違反の主張は不適法であり、その実質は事実誤認の主張に帰するものである。
次に所論のうちには違憲をいう点もあるが、犯情の類似した犯人間の処罰に差異が
あつても、これを目して憲法一四条一項の規定する法の下の平等の原則に違反する
ということはできないこと当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)
第四三五号、同年一〇月六日大法廷判決、集二巻一一号一二七五頁)。従つて本件
被告人等に利用された米国軍人等は起訴されず処罰を受けないのに被告人等のみ起
訴され処罰されたからといつて右法の下の平等の原則に違反するということはでき
ないこと右判例の趣旨に徴して明らかであり、又所論の如く被告人等が朝鮮人であ
るため差別処遇を受けたと認むべき資料は何ら存しないから、この点に関する所論
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違憲の主張はその前提を欠くものである。結局所論はすべて採るを得ない。
同第三点について。
所論は量刑不当の主張であつて適法な上告理由に当らない。
また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
昭和三八年八月二三日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 奥 野 健 一
裁判官 山 田 作 之 助
裁判官 草 鹿 浅 之 介
裁判官 城 戸 芳 彦
裁判官 石 田 和 外
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