最高裁判所第二小法廷 昭和36(オ)1137 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人逸見惣作の上告理由は別紙のとおりである。
論旨は、訴外Dが同Eから原判決添付目録(ロ)、(ハ)の土地の返還を受けた
のは昭和二〇年一二月頃であつて、昭和二一年法律第四二号による農地調整法の改
正前であるから、農地委員会の承認を受けなくても無効ではないが、(イ)の農地
について、原判決は返還の時期を昭和二一年秋とのみ判示しているので、若し、右
の改正後であれば、知事の許可を受けないでした解除、解約は無効であり、従つて
被上告人は正当な小作人になることはないはずである。原判決が返還の時期を確定
しないで、返還後の被上告人の耕作を正当としたのは違法であるというのである。
昭和二一年法律第四二号による農地調整法の改正に際し、その附則で農地賃貸借
の解除、解約、更新拒絶についての農地委員会の承認を地方長官の許可と読み替え
ることとし、同法九条に「前項ノ承認ヲ受ズシテ為シタル行為ハ其ノ効力ヲ生ゼズ」
との一項を加えたのである。しかし、同条の「解除若ハ解約」の下に「(合意解約
ヲ含ム以下同ジ)」が加えられたのは、昭和二二年法律第二四〇号によるのであつ
て、右の改正前における合意解約については知事の許可は必要とされていなかつた
のである(昭和二七年一一月七日第二小法廷判決、民集六巻一一号九七七頁)。本
件の場合、原判決は、「Dは、Eに要請して……返還を受けたこと」を認定してお
り、原判決は、DはEと賃貸借契約を合意によつて解約したものと認定した趣旨と
解すべきである。原判決が返還の時期を昭和二一年秋とだけ認定して、昭和二一年
法律第四二号の施行の前後を認定しないで、返還の効力を認めたからといつて違法
とすべき理由はない。論旨は理由がない。
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よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 池 田 克
裁判官 河 村 大 助
裁判官 奥 野 健 一
裁判官 山 田 作 之 助
裁判官 草 鹿 浅 之 介
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