大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和36(オ)1183 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人木原鉄之助の上告理由第一点および第二点について。

論旨は、まず、原判決が本件換地予定地の変更指定処分は違法でないと判示した

ことに法令の解釈適用を誤つた違法がある、という。

おもうに、特別都市計画法に基づく土地区画整理において、換地予定地の指定を

受けた者は、その通知のあつた日の翌日から当該土地を使用収益する権能を取得す

る(同法一四条一項参照)のであるが、かように私人に権利を設定しまたは義務を

免除する行政処分は、その成立に瑕疵があつても、処分庁において職権でこれを取

り消し、変更し得るには、当該処分を取り消し、変更することの公益上の必要性が、

処分関係人をしてその取消・変更による不利益を受忍させるに足るほど緊要なもの

であることを必要とし、かかる要件を欠く取消・変更は違法であること、当裁判所

の判例とするところである(昭和二八年九月四日第二小法廷判決、民集七巻九号八

六八頁、昭和三三年九月九日第三小法廷判決、民集一二巻一三号一九四九頁参照)。

しかして、原判決の確定した事実によれば、被上告人が本件変更指定処分をなすに

いたつた事情は、(イ)上告人の減歩率は、従前地の地理的関係やその地上に非罹

災建物が残存していた等の理由によつて標準率よりはるかに低かつたのに対し、隣

地の訴外Dの減歩率は、標準率にほぼ近いものであり、両者の不均衡を是正する必

要があつた、(ロ)右訴外人は、被上告人に対し、さきに上告人に指定した換地予

定地のうち所論土地三・六九坪を自己に追加指定すべき旨を要請し、それが容れら

れなければ従前地の上にある家屋の移転に応じないという強硬な態度に出ていたた

め、被上告人としては道路の拡張工事が渋滞するのを苦慮していた、(ハ)所論土

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地は、旧城山に接する日当りの悪い場所である、というのであるが、仮りにさきに

上告人に対してなされた換地予定地指定処分の成立に瑕疵があつたとしても、以上

(イ)、(ロ)、(ハ)のごとき事情は、右処分を変更し得べき事由とは、認めら

ない。従つて、本件変更指定処分は違法といわざるを得ないが、その違法は、所詮

処分要件の認定の誤りに帰するものであつて、明白な瑕疵とはいえないから、本件

変更指定処分が当然無効であることを前提とする本訴請求は、その理由がないこと

は明らかである。

されば、原判決の所論判示は、法令の解釈適用を誤つたものではあるが、本訴請

求を排斥しているので、原判決は、結局、正当たるを失わず、右論旨は、採用し得

ない。

次に、論旨は、原判決の前記判示に理由不備の違法があると主張するが、原審は、

その確定した事実関係の下においては「本件変更指定処分は違法でなく、従つて、

無効ではない。」と判示しているのであるから、その間の判断の当否は格別、理由

不備の違法あるものとはいえない。

それ故、本論旨もまた理由がない。

同第三点について。

論旨は、原審において上告人が本件変更指定処分は不当に上告人の財産権を侵害

するものであるから違法であり、また上告人と訴外Dとの間の減歩率の差は著しい

不公平を生ずる程のものでなく、優に金銭補償によつて是正し得ると主張したのに、

原判決がこれに対し何等の判断をも示さなかつたのは、判断遺脱の違法である、と

いう。

しかし、原判決が、前叙のごとく、本件変更指定処分は当然無効でないと判示し

たのは、上告人の右主張を排斥する趣旨に出たものであるから、論旨は、その理由

なきに帰し、採用し得ない。

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よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

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