大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和36(オ)171 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人中井宗夫の上告理由一について。

所論指摘の原審認定は、挙示の証拠関係に照し肯認できるところであり、原判示

認定事実関係の下で被上告人が本件運送取扱契約の本旨にかなつた履行をしたとの

原審判断は首肯できる。所論中、原判決の認定にそわないことを以て原審の審理不

尽ないし事実誤認をいう点は採用するに足りない。

なお諭旨は、上告人(運送取扱委託者)、被上告人(運送取扱人)及び本件運送

取扱契約上の荷受人たるD農協の三者間において荷受人をE産業に変更する旨の合

意がなされなかつたことを以て、被上告人のE産業に対する本件物品引渡が債務の

本旨に従う履行たり得ないと主張するが、本件の如く貨物引換証の発行のない場合

において、運送品が到達地に達した後は、荷受人は運送取扱契約によつて生じた委

託者の権利を取得する(商法五六八条、五八三条一項)から、荷受人独自の権利に

より運送取扱人に対し運送品引渡の請求ができるわけであつて、荷受人から右引渡

請求の権限を与えられた者に対し運送取扱人が運送品の引渡をすることによつて債

務の本旨に従つた履行ありといつて何らさまたげなく、右権限の授与につき委託者

との合意はその必要を見ないのであるから、右所論は、独自の見解として採用でき

ない。

同二について。

所論前段の点は、論旨一について述べたと同じく採用できない。

なお、原判決は、契約上の荷受人たるD農協がE産業に対し本件荷受権限を与え

た事実を認定した上、運送取扱人たる被上告人が右荷受権限あるE産業に対し引渡

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をなしたこと以て、債務の本旨にかなつた履行であると判断しているのであるから、

被上告人において右荷受権限の有無につき十分の調査をつくしたか否かを問う必要

なしとした原判示に所論違法は全くないものというべく、所論はすべて採用できな

い。

同三について。

荷受人たるD農協が第三者たるE産業に対し荷受の権限を与えたとしても運送取

扱委託者たる上告人の運送取扱人たる被上告人に対する本件運送取扱契約上の権利

関係に影響するところなく、被上告人としては依然として契約上の荷受人たるD農

協に対する引渡義務を負うべく、右に対する引渡なき以上債務不履行の責は免れな

いとの所論は、論旨一において説示したとおり独自の見解に過ぎない。

従つて右の見解に基き原審の法令違反ないし審理不尽をいう所論は、すべて採用

できない。

同四について。

所論は、原審の採証法則違反、審理不尽をいうが、その実質は原審が適法になし

た証拠の取捨判断を非難するにすぎず上告適法の理由とならない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

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