大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和36(オ)237 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人香田広一の上告理由第一点について。

原判文を通読すれば、所論引用の原判示冒頭に「控訴人」とあるのは「被控訴人」

の誤記であることが明らかである。したがつて、原判決に所論の違法はなく、論旨

は理由がない。

同第二点について。

諸般の証拠を綜合してある事実を認定するにあたり、その用に供された書証中に

認定事実に反する趣旨の部分が存在する場合でも、その部分を証拠として採用しな

かつた旨判文上明示する必要はなく、その記載内容と判文の認定事実とを対照して、

どの部分を採用し、どの部分を排斥したものであるかが了知できれば足りると解す

べきである。そして、原審が所論乙第三号証の一、二のいずれの部分を採用し、い

ずれの部分を排斥したかは、原判文上、了解しうるから、原判決に所論の違法はな

く、論旨は理由がない。

同第三点について。

訴外Dの債権者等が昭和三一年三月四日同人の負債整理のため同人方において同

人所有の動産を任意に競売し、同日午後五時頃から競売終了の仕舞酒二升くらいを

一〇名くらいの債権者らが車座となつて飲んでいた際、債権者の一部の者から被控

訴人を右負債整理の会計係に選任すべき旨提案されたところ、かねて債権者一同か

ら右負債整理の世話人として選任されていた控訴人が「自分は世話人たる幹事とし

て右提案には反対だ」などと発言するや、被控訴人は酒気の勢も手伝つて俄かに激

昂し、控訴人に対し幹事が何かといいざま、座つて飲酒していた控訴人の頭髪をつ

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かみながら、その頭部顔面を手拳で数回殴打し、その結果控訴人に対し治療日数約

一カ月を要する上顎左側の歯根破折、歯髄折断の傷害をこうむらせるに至つた旨お

よび控訴人が右傷害の治療代として金二、五〇〇円を支払つた旨の原審認定は、原

判決挙示の証拠により、肯認することができる。所論は、原審の適法にした証拠の

取捨判断ないし事実の認定を非難するにすぎないから、採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

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