大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和36(オ)394 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上古代理人松永和重の上告理由第一点について。

原審の事実認定によれば、上告人は昭和三〇年九月頃入院中の被上告人に対し本

件家屋の賃借方申入れたところ、被上告人は「医師から全快までに一年ないし一年

半位かかる旨診断をうけているので、その間の入院費用、家族の生活費等に賃貸料

をあてるため賃貸することは差支えないが、病気回復の後は本件家屋に拠つて何か

営業をして生計を立てなければならない生活環境にあるから、二年間と限つてなら

賃貸する」と答えたところ、上告人から三年間貸して欲しいとの切なる希望があつ

たので、右三年の期間を厳守する約束で同年一一月一日本件家屋賃貸借契約が成立

した(以上の認定は挙示の証拠関係に照して肯認しうる)というのであるから、原

判決が本件賃貸借契約を借家法八条にいわゆる一時使用のため建物の賃貸借をなし

たこと明らかな場合にあたると判断したことは、前叙契約成立の事情に照し是認し

えなくはない。上告人が本件家屋を飲食店営業のため使用し、そのため多額の費用

を投じて模様替えをし、また本件契約書に期間を三年と定めた理由が表示されてい

ないこと所論のとおりであるが、右事実は前記結論に消長をきたすものではない。

論旨は、独自の見解であつて採用しえない。

同第二点について。

所論の事実は、本件賃貸借契約成立の過程に関する事実に過ぎないから、当事者

が主張しなくとも証拠によつて認定して差支えなく、所論は、右事実がいわゆる間

接事実であることを看過しての立論であつて、採るをえない。

同第三点について。

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原判決の所論条項の解釈は、前叙本件賃貸借成立の経過に照して肯認しえなくは

ない。所論は排斥を免れない。

同第四点について。

原審の確定した事実によれば、被上告人は判示の事情の下に所論供託金を損害金

として受領したというのであるから、右供託金受領によつて賃貸借の消滅を主張し

えなくなるいわれがないと判断したのは相当であつて、これに所論の違法はない。

論旨は採用しえない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

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