大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和36(オ)686 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人泉谷清一の上告理由第一点の一について。

記録によれば、上告人は原審第四回口頭弁論期日において、被上告人主張の昭和

二八年一〇月一二日の合意解除を否定し、これに先だつ同月五日上告人より被上告

人先代Dに対し当初の契約に基づく売買の委任を解除した旨の主張をしたことが明

らかであるにもかかわらず、原審が、昭和二八年一〇月一二日上告人と右D間の本

件山林の「売買のことについての」契約が合意解除されたことは当事者間に争いが

ない、と判示したものであること所論のとおりである。

しかし、被上告人の本訴請求は、ひつきよう、先代のDが上告人から買い受けた

山林につき二一万二四〇円を投じてその管理および植林をなし、これにより右山林

の価格が三五万円増加し上告人においてこれを利得したが、上告人の右利得は法律

上の原因がないので、先代Dの相続人たる被上告人にその返還を求めるというに帰

し、原審は、右Dの出捐およびこれによる上告人の利得を認めたうえ、不当利得の

一般原則にしたがい、右Dの出捐の範囲内において上告人に対しその利得の返還を

命じたものであるから、右の違法は、なんら原判決の結論を左右するに足らず、ま

た所論の契約が売買契約であるか売買の委任契約であるかにつき、原審が判断を示

さなかつたことが、審理不尽その他所論のごとき違法をきたすものでないこともい

うまでもない。

論旨はすべて理由がない。

同二について。

しかし原判決の説示するところを熟読すれば、用語やや明確を欠く嫌いはあるが、

- 1 -

原審は結局、本件山林の所有権が上告人に存する旨を認定したものと解するのが相

当である。してみれば、論旨はこの点において前提を欠き、採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!