最高裁判所第二小法廷 昭和37(オ)328 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人伊井豊石、同東季彦、同相沢庄治郎の上告理由第一点について。
所論に関する原判決の判示認定は、その挙示する証拠関係、事実関係からこれを
肯認し得るところである。所論は、ひつきよう、原審の適法にした証拠の取捨判断、
事実の認定を非難するかまたは独自の見解に立つて原判決を非難するに帰し、原判
決に所論の違法は存せず、論旨は採るを得ない。
同第二点について。
所論中原審が控訴代理人伊井豊石、同東季彦作成の昭和三六年一二月一八日受付
準備書面を顧みずして弁論を終結したとの点は、原審において右準備書面記載の主
張については審理判断をなしていること記録上明らかであるから、上告人主張の違
法は存せず、論旨は理由がない。
また原審が上告人(控訴人)の弁論再開の申請を却下したとの点は、原審裁判所
は昭和三六年一二月二〇日午後一時三〇分の口頭弁論期日において双方代理人出頭
の上弁論をなし、同日弁論を終結した上判決言渡期日を昭和三七年一月二六日午後
一時三〇分と指定告知したところ、控訴人代理人東季彦、同相沢庄治郎、同伊井豊
石は右弁論終結後である昭和三七年一月一七日受付口頭弁論再開の申立書と題する
書面により弁論の再開と証人D、同Eの尋問申請をなしたが、原審裁判所は弁論を
再開することなく前記言渡期日に原判決を言渡したことが記録上明らかである。し
かし閉じたる弁論の再開を、命ずると否とは裁判所の専権事項であることは民訴一
三三条によつて明らかなところであり、従つて当事者の弁論再開の申請は単に裁判
所の右専権の発動を促さんとするだけのものと解するのを相当とする。従つて一度
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事件が裁判をなすに熟するものと認めて弁論を終結した後においては、たとえ当事
者が弁論再開の申請をなしても裁判所が之を採用しないからとて毫も違法の措置と
いうことを得ない。然らばこの為上告人(控訴人)の新な証拠の提出ができなかつ
たとしても民訴一三七条の規定に明らかな如く裁判所はこれらの提出を不当に制限
したものとはならないものと解するのを相当とする(最高裁判所昭和二三年(オ)
第七号、同年四月一七日第二小法廷判決、民集二巻四号一〇四頁参照)。原審に所
論の違法は存せず、論旨は採るを得ない。
同第三点について。
原判決が、本件和解(控訴人(上告人)と訴外F間の東京地裁昭和二五年(ワ)
第三四三二号約束手形金請求事件に対する和解)には、控訴人主張の如き当事者適
格の欠缺あるいは要素の錯誤は認められない旨判示したことは、原判決挙示の事実
関係からこれを首肯し得る。所論は、ひつきよう、原審の認定にそわない事実を前
提として原審の適法にした証拠の取捨判断、事実の認定を非難するかまたは独自の
見解に立つて原判決を非難するに帰し、原判決に所論の違法は存せず、論旨は、採
るを得ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 奥 野 健 一
裁判官 山 田 作 之 助
裁判官 草 鹿 浅 之 介
裁判官 城 戸 芳 彦
裁判官 石 田 和 外
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