最高裁判所第二小法廷 昭和38(オ)1270 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人貝原甫一の上告理由第一について。
原判決(引用にかかる第一審判決を含む)がその認定の諸般の事情を考慮に入れ
て慰藉料額の算定をしている点に何らの違法もないから、所論は採用できない。
次に、上告人が本件受傷の当時一方において失業保険金一日四六〇円の給付を受
けていたこと、および他方において就職待機中妻の名義の食料雑貨商の手伝をして
一日約六〇〇円位の稼ぎをしていたことは、上告人が原審で自陳するところであつ
て、この事実関係からすれば、失業保険法第一七条の四、第一七条および昭和三三
年労働省告示第二九号の規定の適用上、前示失業保険金日額四六〇円のうち原判決
程度の額の支給を止められるはずである、と原審が判断したことは正当であつて、
この事情を本件慰藉料額算定の一資料として考慮に入れたことに何らの違法もない。
右の解釈が失業保険制度の趣旨に反し違法であるとする論旨は、独自の見解にす
ぎない。本件のように妻名義の食料雑貨商の手伝をした場合でも、それによつて日
額約六〇〇円の収入を得るという以上、失業保険法第一七条の四にいう、失業期間
中に自己の労働によつて収入を得るに至つた場合に該当するというべきであり、こ
れに反する所論は採用できない。�
なお、失業保険金受給の一時停止ないし受給終了のことをいう所論は、原審にお
いて主張なく、従つて認定判断を経ないことをいうにすぎず、採用できない。
同第二について。
自動車損害賠償保障法第三条の規定を根拠として、自動車の運行による損害の賠
償については被害者の過失を斟酌して過失相殺をすることはできないとする所論は、
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同法第四条の規定に照らし独自の見解というのほかなく、採用できない。
仮りに民法の過失相殺の規定の適用があるとしても上告人に過失がなかつたとの
所論は、原審認定にそわないことをいうものであり、被上告人Bの本件徐行義務違
反が過失というよりはむしろ故意行為というべきものであるとして原判決の過失相
殺の判断の誤りをいう所論は、原審の認定外の事実を前提とし、かつ独自の見解に
基づくものであつて、採用できない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 奥 野 健 一
裁判官 山 田 作 之 助
裁判官 草 鹿 浅 之 介
裁判官 城 戸 芳 彦
裁判官 石 田 和 外
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