大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和38(オ)191 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人大島正義の上告理由第一点について。

所論指摘の原審認定判示は、原判決挙示の証拠関係に徴し首肯できる。所論は、

ひっきょう、本件建物の所論改造工事費を賃借人たる上告人が支払う特約など全然

なく、賃貸人においてこれを支払う義務あることを認めていたとの原審認定外の事

実を主張し原判決を非難するものであって上告理由として採るをえない。

また、所論は、乙八号証、同九号証を唯一の証拠であるとして、これを取り調べ

ない違法が原審に存するかのごとく論ずるが、右乙号各証は唯一の証拠というに当

らないこと記録上明瞭であり、かつ、原判決は、これらの書証をも含めて、所論改

造費等一切を上告人において負担する特約成立の認定をくつがえすに足りる証拠は

ないと判断していることが判文上明らかであるから、右書証についての判断遺脱な

いし理由不備をいう所論も採用できない。

なお、論旨は、Dの証言について偽証をいうが、これを疑うべき資料は記録上存

在せず、ひっきょう所論は、原審の専権たる証拠の取捨判断について異を唱えるに

すぎないものというべく、採用の限りでない。

同第二点について。

所論指摘の原審認定事実は、事情にわたるものであり、当事者の主張がないのに

これを認定判示したからといって原判決に所論違法を来たすものではない。また、

右に関し偽証、重大な事実誤認をいう論旨も、ひっきょう原審の専権たる証拠の取

捨、事実の認定を論難するに帰着し、所論はすべて採用できない。

同第三点について。

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所論前段は、原審の専権事項たる採証、認定の非難に尽き上告理由として採用し

難く、「仮りに賃借人が修繕する旨の特約がある場合でも本件の如き大修繕は特別

の事情がない限り賃借人たる上告人が負担する義務がない」と主張する点は、独自

の見解にすぎず、引用の大審院判例(大正一五年(オ)第一二一九号昭和二年五月

一九日判決)は本件に適切でない。�

所論後半は、本件改造工事によって従前の家屋と改造後の家屋とは同一性を失い

改造後の家屋の所有権は賃借人たる上告人に帰属した旨を主張し、この点について

原審に判断遺脱、審理不尽、事実誤認の違法があると唱えるが、右は、原審で主張

なく従って判断を経ない事項であるから、原判決について右違法をいう所論は採用

の限りでない。

同第四点について。

所論指摘の原審認定判示の事実関係は、事情にわたるものであり、その認定の当

否は判決に影響を及ぼさないことがらであるばかりでなく、所論は、原審において

主張なく従って認定判断を経ないことや原審が適法に認定した事実関係にそわない

ことをもって原判決の審理不尽、重大な事実誤認をいうにすぎず、所論はすべて採

用できない。

よって、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

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