大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和38(オ)513 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人戸毛亮蔵の上告理由第一について。

所論一は、本件の被害者の特定につき原判示の判然としないことをいい、従つて

原判決に理由そごがあるというが、原判決は、上告人Aが本件物件を権限なく売却

処分し訴外株式会社D商店の所有権を不法に侵害したとの第一審の認定判断を引用

判示していること判文上明瞭であつて、所論は、原判決の判示を正解しないことに

よるものであり、原判決には所論違法は存しない。

所論二は、原判決が本件損害賠償額を上告人Aの物件処分時の時価を標準として

判定したことについて、その処分の日時の認定を不分明にしたまま、ただ単にこれ

を「その頃」と判示している点に理由不備の違法があると主張するが、原判決引用

の第一審判決の判文を前後通読すれば所論「その頃」の判示をもつてその時期の特

定は十分はかられていると解せられ、従つて所論は採るをえない。

所論三の指摘する原審の事実認定は、原判決引用の第一審判決挙示の証拠関係に

照し肯認できるところであつて、証拠によらずして所論事実の認定をしたとの違法

は原審に存しない。よつて、右違法を前提とする所論は採用できない。

所論四は、原判決の理由不備をいうが、原判示を正解せずして独自の見解を述べ

るにすぎず、採用できない。

所論五は、原判決が所論信託法一一条違反の主張を容れなかつた点の判断に理由

不備の違法があるというが、原審が、被上告人の本件訴提起を目して信託法一一条

にいう「訴訟行為をなさしむることを主たる目的」とするものと断ずることはでき

ないとしたことは首肯できて、その点に何ら理由不備は認められない。従つて所論

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は採用できない。�

同第二の一について。

原判決が、本件損害賠償債権は所論債権者委員会の代表者の地位にある被上告人

に対し信託的に譲渡されたものであつて被上告人を代表者とする右債権者集会に譲

渡されたものでないと認定判示したことは、挙示の証拠関係に徴し肯認できること

ろであり、所論はひつきょう原審の専権たる証拠の取捨判断、事実の認定を非難す

るに帰し、採用できない。

なお、右の点が原審判断のごとくであれば、本件債権譲受人は被上告会社でなく

E個人とならざるをえない旨をいう点は、独自の見解を述べるにすぎないものであ

つて採用の限りでない。

同第二の二について。

本件債権譲渡は信義則違反にあたらないとした原審判断は、首肯できるところで

あつて、その点に理由不備の違法は存しない。従つて、所論はすべて採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

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