大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和38(オ)6 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人高橋保治、同秋田光三の上告理由第一点について。

所論は、原判決の維持する一審判決は、その主文第二項において、上告人らに対

し本件農地の引渡を命ずると共に、これにつき仮執行宣言を付したものであるが、

右引渡を命ずる裁判は、本件農地について農林大臣に対する農地の転用のための所

有権移転の許可申請手続を命ずる右一審判決主文第一項の裁判の確定をまつて始め

て執行しうるのであるから、いまだ仮執行宣言を付することは許されない筈である

のに、原審が右仮執行宣言を付した一審判決を維持したのは、仮執行宣言に関する

法令の解釈適用を誤つたものであるというに帰する。しかし、右のように農林大臣

の許可があつたことを条件として農地の引渡を命ずる判決であつても、これにつき

仮執行宣言を付しえないといういわれはなく、農林大臣に対する許可申請手続を命

ずる判決の確定を俟たないで右許可申請手続がとられその結果許可のなされる場合

もあり得ないわけではないし、また、右仮執行宣言付判決については右農林大臣の

許可があつたことを証明して始めて執行文の付与を受けうるのであるから、論旨の

いうように本件仮執行宣言を付したことがなんら必要性のないものであるとか或は

法的安全性を害するとかいうにはあたらない。従つて所論は採用できない。

同第二点について。

所論は、原審の認定しない事実に基づいて、原審の事実認定、証拠の取捨判断を

非難するに帰するから、採用できない。

同第三点について。

所論は、原審は、本件売買契約書(甲一号証)三条のいわゆる国有地払下を契約

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成立の要件とするとの文言の解釈を誤つた結果、本件売買契約が上告人の困惑軽卒

無経験に乗じて不当な財産的給付を上告人に約させた点において公序良俗に違反す

ることを看過したものであるという。しかし、右契約書の記載について、原審が挙

示の証拠により所論文言が上告人における右国有地払下に協力する義務を強く規定

したに過ぎないものと解するのが相当であると判断したのは、肯認できるところで

あり、右契約において公序良俗違反の点はみとめられない。また、本件売買契約の

履行期が昭和三三年三月末日であつたことおよび上告人らの関係官庁に対する本件

農地転用許可取消の申請や陳情がすべて右契約の履行期を徒過した後になされたこ

とは、原審の認定しないところである。所論は結局、独自の見解に立ち、原審の認

定しない事実を前提として、原審が適法になした事実認定ないし判断を非難するに

帰するから、採用できない。

同第四点について。

一審証人Dに対して裁判官が所論のような質問をなしていることは記録上明らか

であるが、上告人側から裁判官に対して公正を妨げるべき事情があるとして忌避の

申立をなした形跡は記録上認められないし、また当事者双方および裁判官の右証人

に対する質問および応答の経過から見て、所論のように右裁判官の質問が予断に基

づくものとは、到底みとめられない。従つて、上告人が裁判を受ける権利を奪われ

たとの主張も、その前提を欠くに帰する。所論はすべて採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

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裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

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