大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和38(オ)686 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人井藤誉志雄の上告理由第一点、第二点、第四点および上告代理人中田

直人、同橋本紀徳、同東中光雄、同井藤誉志雄の上告理由第一点ないし第四点、第

六点および第七点(但し、合意退職に関する部分を除く。)について。

論旨は、要するに、原判決が本件解雇の効力を是認したことが民訴法一八六条、

二五七条、憲法一四条、二八条、労働基準法二条、三条、九〇条の解釈適用を誤ま

り、審理不尽、理由不備、理由齟齬の違法をおかしたものである、という。

昭和二五年七月一八日付連合国最高司令官マツクアーサ―元帥より内閣総理大臣

にあてた書簡が公共的報道機関のみならずその他の重要産業の経営者に対し企業か

ら共産党員およびその同調者を排除すべきことを要請した同司令官の指示であり、

このような解釈指示が当時においてはわが国の国家機関および国民に対し最終的権

威をもつていたことは、当裁判所の判例とするところであり(昭和二七年四月二日

大法廷決定、民集六巻四号三八七頁、昭和三五年四月一八日大法廷決定、民集一四

巻六号九〇五頁参照)、今日においても右判例を変更すべき必要を認めない。しか

して、原判決の確定した事実によれば、本件解雇は前記書簡の趣旨に基づいてなさ

れたものであり、また、上告人らは共産党員またはその同調者であるというのであ

るから、本件解雇は、それが所論就業規則の条項に違反するかどうかを論ずるまで

もなく、有効なものとして是認しなければならない。

されば、原判決には前記連合国最高司令官の書簡の解釈適用を誤つた違法はある

が、その結論は正当であり、論旨は、所詮、判決の結果に影響を及ぼすこと明らか

な法令違背を主張するものでないか、原審の専権に属する証拠の取捨選択、事実の

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認定を非難するに帰し、排斥すべきものとする。

上告代理人中田直人、同橋本紀徳、同東中光雄、同井藤誉志雄の上告理由第五点

について。

論旨は、前掲連合国最高司令官の書簡はポツダム宣言および降伏文書に違反し、

無効である、という。

しかし、ポツダム宣言を受諾した日本国としては、右書簡の効力の有無を審査判

断する立場にないことは、当裁判所昭和四〇年九月八日(昭和三六年(オ)第五二

三号)大法廷判決の示すところである。論旨は、かかる審査判断の可能であること

を前提とするものであつて、その前提においてすでに失当であるから、採用するこ

とができない。

上告代理人井藤誉志雄の上告理由第三点および上告代理人中田直人、同橋本紀徳、

同東中光雄、同井藤誉志雄の上告理由第八点(但し、第七点中の合意退職に関する

部分を含む。)について。

論旨は、原審の合意退職に関する判断に法令の解釈適用を誤まり、審理不尽、理

由不備の違法があるというのであるが、所詮、原審の適法になした証拠の取捨選択、

事実の認定を非難するに過ぎないものであつて、上告適法の理由とは認められない。

よつて、民訴法三九六条、三八四条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全

員一致の意見で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 草 鹿 浅 之 介

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

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