大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和38(オ)91 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人岡崎耕三の上告理由について。

原判決は、その挙示の証拠にもとづき、原判決認定の経緯により、昭和二二年二

月訴外Dは訴外Eに対し本件土地(一〇八坪二合五勺)に隣接する土地を代金六万

円で売却して右代金六万円を同訴外人との乾物の卸商の共同事業に出資し、同訴外

人に対し右Dが入用のときにはいつでも明け渡すとの約で本件土地などの使用を認

め、かつ、共同事業による利益分配金を受領することとし、右Dにおいて右Eから

昭和二二年下半期金一万円、二三年金二万円、二四年金二万五千円、二五年から三

〇年まで毎年金四万円あてを受領し、さらに、Eにおいて本件土地の固定資産税を

二二年から二九年まで代納していた。そして、二七年四月頃、前記合意の内容を明

文化するため右Eにおいて覚書(乙一号証)を作成したところ、その覚書の案第三

項に本件土地について「甲(訴外Dのこと、以下同じ。)から乙(訴外Eのこと、

以下同じ。)へ賃貸しているものであること」「この賃料と甲の前記出資金六万円

に対する利益配当金として乙から甲に対し一ケ月金二千円ないし金四千八百円を支

払うべきこと」第五項に「乙の借用土地」云々の記載があつたのに対し、右D側に

おいて賃貸しているものではない旨抗議して右各文言を「使用」「使用料」「使用

土地」と訂正してはじめて右D側において右覚書に捺印した旨を認定し、右D側と

してはEに賃貸してその賃料を受領する意思は全くなかつた経緯、本件土地の使用

関係およびその内容、前記覚書作成のさいの事情などを考慮したすえ、訴外Dと訴

外E間には賃料についての合意がなくEがDに支払つた前記各金員は出資金に対す

る配当にすぎず、結局、本件土地に賃貸借の成立は認められない旨を判示している

- 1 -

のであり、当審も、前記事情のもとにおいては、原判決の右判断を肯認しえないも

のではない。�

原判決には、所論のように経験則違反の判断があるとは断じがたく、所論は、失

当として排斥を免れない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で主文のとお

り判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!