大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和39(あ)1879 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人荒木信一の上告趣意第一点について。

所論は要するに、原審は本件被告人のため弁護人を附する義務があるのにこれを

怠り弁護人なくして審理判決した違法があると前提して違憲を主張する。しかし記

録によると、第一審判示第一の業務上過失致死の事実は福岡地方裁判所甘木支部に

起訴され、同判示第二の業務上過失致死の事実は甘木簡易裁判所に起訴(略式命令

請求)され、後者について正式裁判の申立がなされ、両者は右地方裁判所支部にお

いて併合して審判されたものであるところ、同支部においても、前記簡易裁判所に

おいても、それぞれ刑訴法二七二条、刑訴規則一七七条による弁護人選任に関する

通知をなしており、これに対し、被告人はそれぞれ「弁護人の必要はない」旨回答

していること明らかである(記録四丁、一九丁)。そして右両規定は控訴の審判に

ついては準用されないものと解すべきことは、既に当裁判所の判例(昭和三三年(

あ)第二二〇号同年九月一二日第二小法廷決定、集一二巻一三号三〇〇七頁)とす

るところである。又業務上過失致死罪の法定刑は、「三年以下の禁錮又は千円以下

の罰金」(刑法二一一条前段)であるから、本件被告人の二個の業務上過失致死罪

は、それぞれ刑訴法二八九条にいわゆる必要的弁護事件ではないものというべく、

所論の如く、両者が併合罪の関係にあつてその処断刑が長期三年を超えることとな

るからといつて、本件の如き場合には処断刑を基準として必要的弁護事件であるか

否かを決すべきものと解すべきではない。されば必要的弁護事件に関する規定であ

る刑訴規則一七八条三項は、本来本件には適用されない規定であり、他方被告人か

ら、刑訴法三六条の貧困その他の事由による弁護人選任の請求がなされた形跡も記

録上認められない以上、これらの規定及び裁判所の裁量に属する同法三七条五号の

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規定に基づいて原審が被告人のため弁護人の選任をしないで審判をした手続の違法

をいう所論は全く理由がないものというべく、従つてかかる違法があることを前提

とする所論違憲の主張は、その前提において失当であり、適法な上告理由に当らな

い。

同第二点について。

所論は単なる法令違反の主張であつて適法な上告理由に当らない。(なお所論空

閑一成の司法巡査に対する供述調書はこれを除外しても、第一審判示第二の事実は、

第一審判決の挙示する爾余の証拠によつて優にこれを認め得る)

同第三点について。

所論は事実誤認の主張であつて適法な上告理由に当らない。

同第四点について。

所論は違憲をいうが実質は量刑不当の主張であつて適法な上告理由に当らない。

また記録を調べても刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和四〇年七月一〇日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

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