最高裁判所第二小法廷 昭和39(さ)5 判決
主 文
原略式命令を破棄する。
被告人が公安委員会の運転の免許を受けないで軽自動車を運転したとの
事実に関する本件公訴を棄却する。
被告人を罰金五〇〇〇円に処する。
右罰金を完納することができないときは金二五〇円を一日に換算した期
間被告人を労役場に留置する。
理 由
記録を調査すると、被告人は、公安委員会の運転免許を受けないで昭和三七年三
月一一日午前一〇時頃愛知県海部郡a町大字b字cd番地附近道路において、軽自
動車を運転したものであるとの犯罪事実につき、当初昭和三七年四月二八日津島区
検察庁検察官より津島簡易裁判所に公訴提起と同時に略式命令を請求され、これに
対し同裁判所は、同年五月二日右起訴事実と同一の犯罪事実を認定し、道路交通法
違反として被告人を罰金四〇〇〇円に処する旨の略式命令をなし、右裁判がなさた
後未だその確定しない以前の同三七年五月二三日津島区検察庁検察官より再び右同
一事実につき、これと法定の最高速度をこえる速度で軽自動車を運転したものであ
るとの犯罪事実とを併合して津島簡易裁判所に公訴提起と同時に略式命令を請求さ
れ、これに対し同裁判所は、同年五月二五日右起訴事実と同一の犯罪事実を認定し、
道路交通法違反として被告人を罰金九〇〇〇円に処する旨の略式命令をなし、以上
の各裁判はいずれも同年六月一四日確定した事実を認めることができる。しからば、
後に起訴を受けた津島簡易裁判所は、二重に起訴された無免許運転の事実について
は刑訴三三八条三号により、判決を以て公訴を棄却し、その余の道路交通法違反の
事実についてのみ有罪の言渡をなすべきであつたにもかかわらず、その措置をとら
なかつたため同一事実について二個の略式命令がなされ、同日確定するに至つたも
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のであつて、後になされた原略式命令は違法であり、かつ、被告人に不利益である
ことが明らかである。
よつて、刑訴四五八条一号により原略式命令を破棄し、その公訴事実中無免許運
転の事実につき公訴を棄却し、原略式命令によつて確定されたその余の道路交通法
違反の事実につき同法六八条、二二条一項、一一八条一項三号、同法施行令一一条
三号、罰金等臨時措置法二条、刑法一八条を適用して被告人を罰金五〇〇〇円に処
し、この罰金を完納することができないときは金二五〇円を一日に換算した期間被
告人を労役場に留置することとし、主文のとおり判決する。
この判決は、裁判官全員一致の意見によるものである。
検察官 臼田彦太郎公判出席
昭和三九年一一月六日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 奥 野 健 一
裁判官 山 田 作 之 助
裁判官 草 鹿 浅 之 介
裁判官 城 戸 芳 彦
裁判官 石 田 和 外
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