最高裁判所第二小法廷 昭和39(さ)8 判決
主 文
原略式命令を破棄する。
被告人は無罪。
理 由
前記確定事件の記録によれば、松本簡易裁判所は昭和三九年四月一六日「被告人
は、大型免許を受けている者であるが、未だ二一才に満たないものであるのに、昭
和三九年四月一〇日午後一時四〇分頃松本市a区bA前付近道路において、大型自
動車(最大積載重量七、五〇〇瓩、長1す六二―六六)を運転したものである。」
旨の犯罪事実を認定し、これに対し道路交通法八五条三項、一一八条一項五号、罰
金等臨時措置法二条、刑法一八条を適用して被告人を罰金五、〇〇〇円(換刑処分、
五〇〇円を一日に換算)に処し、かつ右罰金の仮納付を命ずる旨の略式命令をなし、
即日その謄本を被告人に送達したことおよび右略式命令は法定の期間内に正式裁判
の請求がなされなかつたので、同年五月一日確定したことを認めることができる。
ところで、道路交通法八五条三項は、昭和三七年法律第一四七号「道路交通法の
一部を改正する法律」により新たに加えられた規定であるが、同法附則二項により
同法の施行の際(施行期日は同年七月一日)、現に大型免許を受けている者につい
ては適用しないものと定められている。
しかるに、前記確定事件の記録によれば、被告人は前記改正法律の施行前である
同年三月三〇日大型免許を取得したことが認められるから、道路交通法八五条三項
による大型自動車の運転に関する年令の制限を受けないことが明らかであり、原裁
判所としては、被告事件が罪とならないものとして被告人に対し無罪の判決をなす
べきであつたのである。されば、被告人の右所為につき、前記「道路交通法の一部
を改正する法律」附則二項の規定を看過し、道路交通法八五条三項を適用して被告
人を罰金五、〇〇〇円に処した原略式命令は法令に違反し、かつ被告人のために不
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利益であることが明らかである。
よつて、刑訴法四五八条一号により原略式命令を破棄し、被告事件について更に
同法三三六条を適用して被告人に無罪の言渡をすべきものとし、裁判官全員一致の
意見で主文のとおり判決する。
公判出席検察官 臼田彦太郎
昭和四〇年九月一〇日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 奥 野 健 一
裁判官 山 田 作 之 助
裁判官 草 鹿 浅 之 介
裁判官 城 戸 芳 彦
裁判官 石 田 和 外
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