大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和39(オ)1034 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人一松弘の上告理由第一点について。

被上告人が原審で所論の主張をしたことは記録上明らかであり、原審が所論の認

定をしていることは判文上明らかであるが、ある契約が当事者間に成立したものと

主張して、右契約の履行を求める訴が提起された場合に、裁判所が右契約は当事者

の一方の代理人と相手方との間になされたものと認定しても、弁論主義に違反しな

いとすることは、当裁判所の判例とするところである(最高昭和三三年七月八日第

三小法廷判決民集一二巻一一号一七四〇頁参照)。

したがつて、これと同趣旨の見解に立つ原判決に所論の違法はなく、論旨は理由

がない。

同第二点について。

控訴人(上告人)A1は、本件建物を担保として、被控訴人(被上告人)から金

員を借り受けるについての包括的な代理権を訴外Dに授与したものであり、Dは、

控訴人A1の代理人として、遅くとも登記申請書類の作成の際、本件代物弁済予約

を承諾したうえ、被控訴人から金一〇〇万円を受領した旨ならびに控訴人A1およ

びその代理人である控訴人A2は本件消費貸借に基づく債務の弁済期について被控

訴人と交渉することをもすべてDおよびEにまかせていた旨の原審の認定判断は、

原判決挙示の証拠に照らし、肯認することができる。したがつて、原判決に所論の

違法はなく、所論は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断および事実

の認定を非難するに帰するから、採用できない。

同第三点について。

- 1 -

弁護士別府祐六が本件訴訟について適法な訴訟代理権を有しなかつたとしても、

控訴人(上告人)らから適法な委任を受けた弁護士一松弘が第二審において、控訴

人らの訴訟代理人として、本案について弁論をし、訴訟を進行し、判決を受けたこ

とが、記録上、明らかであり、一松弘の右行為は別府祐六の従前の訴訟行為全部を

追認したものというべきであるから、同人の訴訟代理権の欠缺を理由として本件訴

訟手続を非難することができないことは、いうまでもない。したがつて、論旨は理

由がない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!