最高裁判所第二小法廷 昭和39(オ)204 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人猿谷明の上告理由第一点について。
原判決は、本件建物が当初から自己の所有であつた旨の被上告人の主張に対し、
その判示のような経過を辿つて、結局、本件建物の建築完成に先立ち、上告人およ
び被上告人間に、上告人の出捐により完成する建物の所有権を被上告人に帰属せし
めることとし、上告人はこの建物を被上告人から期間を定めず賃借する旨の合意が
成立し、この合意に基づき上告人が本件建物を建築完成したことが認められるとし
て、右主張を採用すると共に、これと相容れない上告人の主張を排斥しているので
あつて、所論のように、被上告人が上告人から本件建物の贈与を受けてその所有権
を取得した旨を認定しているものではない。論旨は、原判決を正解せず、独自の見
解に立つて、原審の判断を非難するものであり、原判決に所論の違法は存しない。
従つて、論旨は採用し得ない。
同第二点について。
所論は、被上告人は本訴において損害金の請求をしているのであつて、賃料の請
求をしているわけではないのに、原審が上告人に対して、賃料の支払を命じたのは
民訴一八六条に違反するものであるという。被上告人の本訴における事実上および
法律上の陳述によれば、被上告人は上告人に対して、本件建物賃貸借契約が解除も
しくは解約の申入により終了後も上告人がその占有使用を継続しているとして、賃
料相当の損害金の支払を求めるというのであるが、その求めるところは、現実に本
件建物の使用収益をなしている上告人に対し、その所有者として右使用収益の対価
を自己に確保しようとするにあり、審理の結果、前記解除もしくは解約の申入の効
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力が認められず、賃貸借契約が依然として存続しているものと判断されるのであれ
ば、被上告人としては、特段の事情のないかぎり、予備的にこれを賃料請求として
維持するものと解するのが相当であり、このような場合に、賃料の支払を命ずる旨
の判決をしたからといつて、民訴一八六条に違反するものということはできない。
従つて、これと同趣旨に出た原判決は正当であつて、これに所論の違法は存しない。
それゆえ、所論は採用し得ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 奥 野 健 一
裁判官 山 田 作 之 助
裁判官 草 鹿 浅 之 介
裁判官 城 戸 芳 彦
裁判官 石 田 和 外
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