大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和39(オ)283 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人阿部甚吉、同太田忠義、同滝井繁男の上告理由第一および第二につい

て。

所論の点について、原判決の認定した事実は、その挙示の証拠により、これを肯

認することができるところ、右の事実関係に徴すれば、上告人は、被上告人が本件

土地所有者との間に安定した家屋敷地の賃借権を有することを知り、しかも、被上

告人が本件土地買受けの交渉中であるにかかわらずこれを出し抜き、主として被上

告人および本件家屋に入居した上告人の父と同業のDに対する報復手段として本件

土地を買受け、被上告人が本件土地につき有した賃借権が対抗力を有しないことの

不利に乗じて本訴を提起し、上告人の権利行使は、主観的にも客観的にももつぱら

その相手方に損害を与えることのみに寄与し、しかも、右Dの本件家屋からの退去

により、右Dとの競業の危険性が全部解消した以上、原審の口頭弁論終結時現在に

おいては、上告人の本訴請求は所有権の濫用として許されないとした原判決の判断

は、当審も、これを是認しえないわけではない(なお、論旨中には、権利の濫用の

有無については本件訴訟提起当時を基準とすべきで、弁論終結時を基準として判断

すべきでない旨の主張があるが、この点は独自の見解として、採用することができ

ない。)�

原判決には、所論のような違法はなく、所論は、結局、原審の専権に属する証拠

の取捨・選択、事実の認定を非難するに帰し、採用しがたい。

同第三について。

原判決が、その挙示の証拠により適法に認定したところによると、Eは、Fより

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所論の空地部分(本件空地部分)をも含めて、本件土地全部を本件家屋の所有を目

的として賃借し、被上告人も、右Eから本件家屋を買受けると同時に右Fの承諾を

えて右借地権の譲渡を受けたのであり、右借地権の範囲は所論の空地部分をも含め

て本件土地一筆全部であつたというのである。

したがつて、特段の事情の認められない本件では、本件土地は本件建物の敷地と

して使用されていることが明らかであるから、原判決は、原判示の理由で、上告人

の本訴請求全部を権利の濫用として排斥したのは妥当というべきである。

原判決には、所論のような違法はなく、所論は、採用しがたい。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 草 鹿 浅 之 介

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

裁判官 色 川 幸 太 郎

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