大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和39(オ)697 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人木村順一の上告理由第一点について。

原判決が引用する第一審判決が確定した一切の事実関係、就中(い)被上告人B

1と被上告人B2サドル株式会社の両名が被上告人B3に対し無断使用させた土地

は、本件賃借地全部三八六坪一合二勺中の一四坪八合にすぎない事実、(ろ)被上

告人B3は同B1の二男であつて、B1が死亡すれば他の相続人らとも協議のうえ、

その所有家屋の敷地賃借権を承継すべき立場にある事実、(は)上告人は右土地の

明渡を受けても空地として放置する予定であり、これをみずから使用せねばならぬ

特別の事情もない点を斟酌すれば、上告人が被上告人B1、同B2サドル株式会社

両名に対してした、無断転貸を理由とする本件土地賃貸借契約解除の意思表示は、

権利(解除権)を濫用するものであつて無効である旨の原審の判断は首肯できなく

はない。右に反する見解に立つて原審の判断を攻撃する所論は採用できない。

同第二点について。

所論は、すくなくとも無断転貸にかかる原判決添付第三物件目録記載家屋の敷地

部分(前示一四坪八合)については、解除の効力を肯認すべきであるというのであ

る。しかし、原審が確定した事実関係のもとにおいては、上告人がした本件土地賃

貸借契約解除の意思表示は、権利の濫用として、本件土地全部についてその効力を

否定するのが相当であり、特に当該転貸部分については解除の効力を認めなければ

ならないとすべき合理的理由を見出し難い。これに反する見地に立つて原判決を攻

撃する所論は採用できない。

同第三、四点について。

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被上告人B1、同B2サドル株式会社両名が、上告人の承諾を得ないで被上告人

B3をして前示賃借地の一部を使用させても、上告人がこれを理由としてした賃貸

借契約解除の意思表示は、権利濫用として無効であることは前示のとおりであり、

このような場合には、特段の事情がない限り、被上告人B3の占有は不法のものと

いうことはできないと解するのが相当である。したがつて、上告人が被上告人B3

に対し、所有権に基づき、家屋収去、土地明渡を求める本訴請求は、それが所有権

あるいは所有権に基づく物上請求権の濫用に当るかどうかを判断するまでもなく、

許されないこととなる。されば、右請求は理由がないとした原審究極の判断は正当

である。所論は、いずれも、判決の当否に影響のない判示について法令違背を主張

するに帰し、採用できない。

同第五点について。

原判決は、被上告人B3に対する損害金請求について、「B3占有地を含んだ本

件賃貸借土地全部につき賃貸借終了せず一審原告(上告人)は一審被告(被上告人)

B1よりその全部について賃料を受けうる立場にあり云々」と説示していることは

所論のとおりであるが、原判決が右のような説示をしたからといつて所論のごとく

「第一審被告B3(被上告人)モ賃賃借契約ニ加入シテ本件賃貸借ガ終了セナイ」

とか、「第一審被告B3ノ不法占拠ガアツテモ『本件賃貸借土地全部につき賃貸借

終了せず』」とかいうことまで判示している趣旨でないこと明らかであり、この点

を正解しないで原判決の違法をいう所論は採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

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裁判官 草 鹿 浅 之 介

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

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