最高裁判所第二小法廷 昭和40(オ)1082 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人藤井英男の上告理由一ないし三について。
原判決の認定によると、本件土地については、昭和五年九月頃、訴外Dが当時の
所有者からこれを普通建物所有の目的で期間の定めなく賃借し、その地上に本件建
物を建築して、同月二三日その所有権保存登記を経由したが、その後右借地権は、
いずれも当時の土地所有者の承諾を得て、建物所有権とともに順次譲渡されて被上
告人に帰し、建物所有権の各移転登記もなされており、一方、上告人は、右土地に
つき、昭和二八年八月二四日に設定された訴外株式会社E銀行の根抵当権の実行に
よる競売手続において競落人となり、その所有権を取得した、というのである。さ
れば、右借地権の順位、すなわち、以後に成立する他の権利に優先する効力は、前
記Dの建物所有権保存登記による借地権の対抗要件具備と同時に確定し、その後に
設定された抵当権の実行による競落人たる上告人も、右借地権を取得した被上告人
から、その権利の対抗を受けるものであることは明らかである。所論は、適法な借
地権の譲渡が、権利の順位を保持したままその移転の効果を生ずることを否定する
独自の見解に立脚するもので、採るをえない。
同四、五について。
借地法六条による法定更新は、土地所有者の処分行為ではなく、法律の擬制によ
り当然に生ずるものであるから、差押による処分禁止の効力に服せず、借地権者は、
差押後の法定更新をもつて抵当権者や競落人に対抗することを妨げられるものでは
ない。それ故、被上告人の借地権につき、法定更新による存続を認めた原判決の判
断は何等違法ではなく、引用の判例はいずれも民法三九五条所定の抵当権設定登記
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後の短期賃貸借に関するもので、本件とは全く事案を異にし、所論の論拠となりう
るものではない。したがつて、論旨も採用できない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 奥 野 健 一
裁判官 草 鹿 浅 之 介
裁判官 城 戸 芳 彦
裁判官 石 田 和 外
裁判官 色 川 幸 太 郎
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