大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和40(オ)1161 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人古荘義信の上告理由第一点について。

原判決は、夫権の侵害という表現を所論のように因襲的観念に基づいて用いては

いない。所論は、原判文を正解しないことによるものであつて、採用できない。

同第二点について。

原判決は、上告人において、Dが被上告人の妻であることを知りながら、Dと情

交関係を結び同女と同棲生活に入つたこと、上告人とDとの右不貞行為によつて被

上告人とDとの婚姻生活が破壊され、被上告人をして婚姻解消を決意するに至らし

めたことを認定判示していて、右認定は原判決挙示の証拠関係に徴して肯認できる

ところ、原判決は、右事実関係から、上告人は故意に被上告人の夫権を侵害したも

のというべく、これによつて蒙つた被上告人の精神上の苦痛を慰藉すべき義務が上

告人にある旨を判示しているのであつて、右判断は首肯できる。しかして、上告人

によつて侵害された被上告人の夫権が如何なる意味のものかは、原判決の右判示で

十分理解できて、その点に審理不尽、理由不備はない。

よつて、所論は採用できない。

上告代理人依光昇の上告理由第一点について。

所論は、ひつきよう、原審の認定にそわない事実関係を主張し原判決の違法をい

うものであつて、採用できない。

同第二点について。

原判決の当事者の表示に所論の誤りがあつても、判決に影響する違法とは解され

ないから、所論は、上告理由として採用するに足りない。

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同第三点について。

上告人の被上告人に対する慰藉料額が金二五万円をもつて相当とするとした原判

決の判断は、その認定事実関係のもとで肯認できる。所論別件たる被上告人とD間

の離婚請求事件において、被上告人のDに対する金三〇万円の請求が金一〇万円の

範囲で認容されたからといつて、本件慰藉料額が所論のように減額されなければな

らない理由はない。その他の所論は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の

認定を非難するに帰着する。従つて、所論は、すべて採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

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