最高裁判所第二小法廷 昭和40(オ)4 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人水田猛男の上告理由第一点ないし第三点について。
記録によれば、被上告人は、昭和三九年九月九日午後一時の原審第五回口頭弁論
期日において、「控訴人(上告人)の主張のとおり、本件乗車契約は控訴人(上告
人)が虚無の会社の代表者として締結したものであつて、個人として締結したもの
でないならば、被控訴人(被上告人)は、控訴人(上告人)に対し、予備的に、無
権代理人としての責任を追及する。」と主張しているのであつて、右主張は、上告
人に対し、予備的に請求の併合として、民法一一七条の規定に基づいて請求の趣旨
記載の金額の支払を求めた趣旨であることを解するに難くない。そして、右請求の
併合は訴の変更の一態様であることは、論旨指摘のとおりであり、しかも、右訴の
変更は書面の提出によつてなされなかつたこともまた記録に徴して明らかであるが、
右訴の変更に対しては、上告人はなんら異論を述べることなく、前記口頭弁論期日
において右主張がなされた後に、当事者双方他に主張立証なしとして弁論が終結さ
れていることが記録上認められる。従つて、右訴の変更が書面の提出によつてなさ
れなかつた瑕疵は、責問権の放棄もしくは喪失によつて治癒されたものと解すべき
である(昭和二七年(オ)第二八号・同三一年六月一九日第三小法廷判決・民集一
〇巻六号六六五頁参照)。論旨はすべて採用できない。
同第四点について。
論旨は、本件につき民法一一七条を適用した原審には同条の解釈適用を誤つた違
法があるという。しかし、原審の確定したところによれば、上告人は存在しない会
社であるD物産株式会社の代表者として被上告人との間に本件乗車契約を締結した
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というのであり、このような場合には、同条の類推適用により上告人において右契
約の履行の責に任ずべきことは、当裁判所判例(昭和三二年(オ)第四八三号同三
三年一〇月二四日第二小法廷判決・民集一二巻一四号三二二八頁参照)の趣旨に徴
して明らかなところである。従つて、原判決に所論の違法はないから、論旨は採用
できない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 奥 野 健 一
裁判官 山 田 作 之 助
裁判官 草 鹿 浅 之 介
裁判官 城 戸 芳 彦
裁判官 石 田 和 外
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