大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和40(オ)654 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人木村市太郎、同児玉義史の上告理由第一点について。

原審の確定するところによれば、上告人の先代亡Dは、昭和二年春頃、本件土地

所有者である訴外Eの承諾のもとに、本件土地に杉苗木一、五〇〇本ないし一、六

〇〇本を植栽し、右杉苗木は本件杉立木に成長したところ、訴外Eは昭和三元年一

〇月八日右土地を地上の本件立木とともに被上告人B1に売り渡し、同被上告人は

さらに同月一二日これを被上告人B2に売り渡し、それぞれその土地について所有

権移転登記を経由したというのである。そして、原審は、右の事実によれば、相続

により亡Dの権利を取得したことを主張する上告人は、本件立木の所有権取得につ

き明認方法等の対抗要件を備えないかぎり、前記土地を地上の本件立木とともに買

い受け、土地についてその所有権移転登記を経た被上告人らに対し、本件立木所有

権の取得を対抗できないものと解すべきところ、本件においては、上告人が右の対

抗要件を具備していないことは上告人の自認するところであるから、本件立木の所

有権確認を求める上告人の予備的請求は失当であると判断し、これを排斥している

のであつて、原審の前記認定および判断は、挙示の証拠により是認することができ

る。所論は、原審の認定にそわない事実を前提とし、独自の見解に基つぎ原判決を

非難するものであつて、採用できない。

同第二、四点について。

原審の確定するところによれば、亡Dは前記杉苗木の植栽後は本件土地を占有し

ていたのであるから、所有の意思をもつて右占有をなしたものと推定されるが、原

審挙示の証拠によれば右推定を覆すに十分であつて、亡Dは使用の意思をもつて本

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件土地を占有してきたものと認めるのを相当とするというのである。そして、原審

の右認定は、挙示の証拠によりこれを是認することができる。所論は、ひつきよう、

原審の右認定を非難するに帰し、採用できない。

同第三点について。

原審の確定するところによれば、上告人主張の本件土地所有権の取得原因は証拠

によつては認めがたいというのであるから、右土地所有権取得を前提とする上告人

の第一次的請求は、この点においてすでに排斥を免れない筋合にある。それ故、仮

に所論の点が違法であるとしても、それは原判決の結論に影響を及ぼすものではな

い。のみならず、所論の点に関する原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違

法は存しない。所論は、違憲をいう点もあるが、その実質は、独自の見解に基づき

原判決を非難するに帰するものであつて、採用できない。

同第五点について。

所論の点に関する原審の認定判断は、挙示の証拠によりこれを是認することがで

きる。所論の実質は、ひつきよう、原審の右認定を非難し、右認定にそわない事実

を前提として原判決を非難するに帰し、採用できない。

同第第六、七点について。

原審認定の本件における事実関係のもとにおいては、被上告人らが上告人主張の

本件立木所有権を否認することは正当の権利に属しなんら信義誠実の原則に反する

ものとは認められないとする原審判断、および訴外Eと被上告人B1間の所論売買

が民法九〇条に違反するとは認めがたいとする原審の判断は、挙示の証拠により、

いずれもこれを是認することができる。所論は、原審の前記認定を非難し、右認定

にそわない事実を前提とし、独自の見解に基づき原判決を非難するに帰し、採用で

きない。

同第八点について。

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所論代物弁済契約の成立は証拠上認めがたいとした原審の認定は、挙示の証拠に

よりこれを是認することができる。所論は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠

の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

裁判官 色 川 幸 太 郎

裁判官草鹿浅之介は病気につき署名押印することができない。

裁判長裁判官 奥 野 健 一

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