最高裁判所第二小法廷 昭和40(オ)823 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人滝内礼作の上告理由第一点について。
論旨は、要するに、昭和三七年五月二七日開催の所論上告人組合の大会決議を法
律的に無効であるとし、これが被上告人に対して統制力を及ぼしえないものとした
原審の判断は、労働組合の統制権の範囲に関する法理を誤つた違法がある、という
にある。
よつて按ずるに、労働組合は、憲法二八条による労働者の団結権保障の効果とし
て、その目的を達成するために必要であり、かつ、合理的な範囲内においては、そ
の組合員に対する統制権を有するが、他方、公職の選挙に立候補する自由は、憲法
一五条一項の保障する重要な基本的人権の一つと解すべきであつて、労働組合が、
地方議会議員の選挙にあたり、いわゆる統一候補を決定し、組合を挙げて選挙運動
を推進している場合に、統一候補の選にもれた組合員が、組合の方針に反して立候
補しようとするときは、これを断念するよう勧告または説得することは許されるが、
その域を超えて、立候補を取りやめることを要求し、これに従わないことを理由に
統制違反者として処分することは、組合の統制権の限界を超えるものとして許され
ないと解すべきこと、当裁判所の判例とするところであり(昭和三八年(あ)第九
七四号昭和四三年一二月四日大法廷判決、裁判所時報五一一号二頁)、この理は、
労働組合の統制権と組合員の立候補の自由との関係についてのみならず、立候補し
た者のためにする組合員の政治活動の自由との関係についても妥当する。
しかるに、所論被上告人組合の大会決議は、組合の推薦する特定候補以外の立候
補者を支持する組合員の政治活動(選挙運動)を一般的・包括的に制限禁止し、こ
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れに違反する行動を行なつた組合員は、統制違反として処分されるべき旨を決議し
たものであつて、前記判例にいう組合の統制権の限界を超えるものとして無効と解
すべく、これと同旨に出た原審の判断は相当である。�
原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。
同第二点について。
所論は原判決の傍論を非難するにすぎず、採用のかぎりでない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 草 鹿 浅 之 介
裁判官 城 戸 芳 彦
裁判官 色 川 幸 太 郎
裁判官 村 上 朝 一
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