大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和40(行ツ)65 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人阿久津英三の上告理由について。

挾着板をタイヤホイールの内部に挿入してタイヤを吊り上げる構造の予備タイヤ

保持の装置は本件実用新案の出願当時すでに公知であつた事実並びに甲第三号証(

本件実用新案公報)の記載に徴すれば、原判決が、本件実用新案についてその挾着

板の特殊な構造をもつて必須要件を構成するものと判断したのは、正当と認められ、

従つてまた原判決が、本件(イ)号物件の本件実用新案の権利範囲に属するか否か

を両者の挾着板を対比してその類否によつて判定したのも、正当といわなければな

らない。

論旨は、右両者の挾着板の各相違点はいずれも均等の技術思想に基くもので、類

似の範囲を出でない旨を主張するが、両者の挾着板は、その構造においても、また

その作用効果においても、異なるものが存し、それが均等の技術思想に由来するも

のとは到底認めがたいことは原判示のとおりであつて、この点に所論の事実誤認は

存しない。してみれば、(イ)号物件には、本件実用新案の前叙必須要件を欠くこ

とになり、かつ作用効果も両者相違するものがあるから、これを同一または類似と

なしがたいことは明らかである。

なお論旨は、実用新案では、構造的に比較可能であるものについては、構造のみ

により技術的思想の類否を判断すべきであるのにかかわらず、原判決は本件実用新

案の主目的外の全く附随的、従的、補助的な作用を主目的とし、(イ)号物件との

作用効果の相違を判断し、構造上類似のものを作用の面から逆に非類似と判定した

ものと非難する。しかし、実用新案における構造の類否の判断にあたつて必然的に

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その構造を結果した目的および作用効果をも考慮するのを許されないとする理由は

ない。のみならず、所論の附随的、従的、補助的な作用とは前叙挾着板の作用を指

していうものとすれば、それは全く本件実用新案の目的および作用効果の誤解に基

くものというほかはない。挾着板の特殊構造は本件実用新案の必須要件を構成する

こと前叙のとおりであり、その挾着板の構造において(イ)号物件のそれとの間に

原判示のような相違の認められる以上、(イ)号物件は本件実用新案の権利範囲に

属しないものとした原判決を、失当ということはできない。

論旨はいずれも採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 草 鹿 浅 之 介

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 色 川 幸 太 郎

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