最高裁判所第二小法廷 昭和41(あ)1878 判決
主 文
原判決中「当審における未決勾留日数中九〇日を原審の言渡した刑に算
入する。」との部分を破棄する。
原審における未決勾留日数八〇日を第一審判決の刑に算入する。
検察官のその余の部分に対する本件上告および被告人の本件上告をいず
れも棄却する。
当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
理 由
被告人本人の上告趣意は、事実誤認、量刑不当の主張であり、弁護人石井芳夫の
上告趣意は、事実誤認の主張であつて、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由に当ら
ない。
検察官高橋一郎の上告趣意について。
記録によると、被告人は、本件につき昭和四一年二月二八日佐賀地方裁判所唐津
支部において、懲役七年(未決勾留日数一四〇日算入、訴訟費用負担)の言渡を受
け、同年三月八日控訴の申立をし、同年七月一五日原裁判所において、「本件控訴
を棄却する。当審における未決勾留日数中九〇日を原審の言渡した刑に算入する。」
との言渡を受けたものであること、第一審判決宣告のときから原判決宣告のときま
で引続き勾留されていたことおよび別に昭和三九年六月一〇日東京簡易裁判所にお
いて暴力行為等処罰ニ関スル法律違反の罪により罰金一万五、〇〇〇円に処せられ
ていたが、その一部に対する換刑処分として昭和四一年三月五日から同年四月二五
日まで労役場留置の執行を受けたものであることがそれぞれ認められる。
そして、勾留と競合して罰金刑の換刑処分たる労役場留置の執行が行なわれた場
合には、自由刑の執行が競合して行なわれた場合と同様、その勾留日数を刑法二一
条により本刑に算入することは違法と解すべきである(昭和二九年(あ)第三八九
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号同三二年一二月二五日当裁判所大法廷判決刑集一一巻一四号三三七七頁参照)か
ら、原審において刑法同条により本刑に算入することができる未決勾留日数は、右
労役場留置の執行が競合した部分を除いて、八〇日であることは明らかである。
したがつて、原裁判所がこれより多い日数を第一審判決の刑に算入する旨の裁判
をしたことは、刑法同条の解釈適用を誤つた違法があり(所論は判例違反をもいう
が、原判決が所論引用の判例と相反する法律判断を示しているものとは認められな
いから、右論旨は採るを得ない。)、原判決中右未決勾留日数を算入した部分は、
これを破棄しなければ著しく正義に反するものといわなければならない。
よつて、刑訴法四一一条一号、四一三条但書により、原判決中「当審における未
決勾留日数中九〇日を原審の言渡した刑に算入する。」との部分を破棄し、刑法二
一条により原審における未決勾留日数八〇日を第一審判決の刑に算入し、原判決中
その余の部分に対する検察官の上告は、上告趣意としてなんらの主張がなく、した
がつてその理由がないことに帰し、被告人の本件上告は全部理由がないから、刑訴
法四一四条、三九六条により右各上告を棄却し、刑訴法一八一条一項本文により当
審における訴訟費用は全部被告人の負担とし、裁判官全員一致の意見で、主文のと
おり判決する。
検察官 平出禾公判出席
昭和四二年五月二六日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 奥 野 健 一
裁判官 草 鹿 浅 之 介
裁判官 城 戸 芳 彦
裁判官 石 田 和 外
裁判官 色 川 幸 太 郎
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