大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和41(オ)798 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人清水昌三の上告理由第一点について。

原判決(その引用する第一審判決も含む。以下同じ。)および一件記録によると、

被上告人は、本件賃借権のDに対する譲渡について上告人の承認を受けた旨を主張

したところ、原判決は、右主張事実を認定したうえ、被上告人が本件賃貸借関係か

ら離脱した旨を判示しているのであつて、右判示は、賃借権の譲渡に対する賃貸人

の承諾した事実から認められる法律上の効果をさしているにすぎないから、原判決

の判断に、所論のような違法があるとは認められない。�

なお、論旨中には、被上告人が本件賃貸借の譲渡契約の解除を主張したことをい

う部分があるが、被上告人が上告人との関係において、このような事実を主張した

ことは、原判決および一件記録に徴しても認めることはできないから、この部分も、

採るをえない。

同第二点および第三点二について。

原判決の挙示する証拠関係に照らせば、上告人が被上告人からDに対する本件賃

借権の譲渡を承諾した旨の原判決の事実認定は、これを是認することができ、この

点についての原判決には、所論のような違法はない。

そして、上告人の前記承諾により、被上告人の意思いかんにかかわらず、被上告

人が本件賃貸借関係から離脱する旨の法律効果を生ずるものであつて、この点の原

判決の説示もまた正当である。

なお、論旨中には公正証書(甲第一号証)と領収書(乙第三号証)との記載内容

を比較し、その取捨・選択についての原判決の説示の不当をいう部分もあるけれど

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も、前記のとおり賃借権の譲渡についての上告人の承諾があると認められる以上、

この点の原判決の説示いかんは、原判決の結論を左右するものではないから、この

点の所論も、結局採用しがたい。

原判決には、所論のような違法があるとはいいがたく、所論は、採用しがたい。

同第三点の一について。

原判決の判示するところによると、本件賃貸借の被上告人からDに対する賃借権

の譲渡は上告人の承諾をえて適法にされ、また被上告人は賃借権の譲渡による賃貸

借関係の離脱までは賃料の支払について遅滞していなかつたというのであるから、

これらの債務不履行による賃貸借の終了を理由とする本件建物部分の明渡および賃

料支払請求は、その余の点について判断するまでもなく失当であることは明らかで

ある。�

また、第一審および原判決ならびに一件記録によると、上告人の被上告人に対す

る賃料相当損害金の請求は、要するに、本件賃貸借に関して被上告人の賃料不払な

いし無断転貸による賃貸借の解除を理由として同人の原状回復義務の債務不履行に

もとづくものにすぎないものと解されるので、前記のように、本件賃貸借の解除が

効力を生じない以上、被上告人の本件建物部分についての占有のいかんを問わず、

右部分の請求も失当であることは明らかであり、原判判が被上告人の占有関係につ

いて判断をしなかつたからといつて、原判決に所論のような違法があるとはいえな

い。

所論は、結局、採用しがたい。�

同第四点について。

所論の点の原判決の判断は、その挙示の証拠により、肯認することができる。

原判決には、所論のような違法はない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

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とおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

裁判官 色 川 幸 太 郎

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