大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和42(オ)222 判決

主 文

原判決中上告人の予備的請求を棄却した部分を破棄する。

右破棄にかかる部分を名古屋高等裁判所に差し戻す。

本件その余の上告を棄却する。

前項の部分に関する上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人大道寺和雄、同中西英雄の上告理由一、について。

所論は、原判決の理由不備の違法をいうけれども、その実質は原判決が反対証拠

として挙示した甲第一、二号証についての原審の判断の誤りを非難するものである。

しかし、右甲第一、二号証には売買の目的物の表示として、「一、宅地七拾坪」、

「七拾坪代」と記載されてあるから、原審が右甲号各証を反対証拠としたことに所

論のごとき違法があるものとすることはできない。それ故論旨は理由がない。

同二、ないし五、について。

原判決は上告人の予備的請求について、本件売買契約の目的物の範囲はa町大字

b字cd番のe原野一畝九歩(現況宅地)、同所同番のf宅地四三坪の一部、同所

g番のh田の一部合計七〇坪(第一審判決添付図面斜線部分)であり、しかも右契

約は売主たる被上告人が訴外Dから右田の部分の所有権移転を受け、更にその田を

宅地にすることができないときは、右売買契約を解除するという解除条件付契約で

あつたところ、被上告人において右部分の所有権を取得することができず右解除条

件が成就したため契約の効力は消滅した旨認定、判断し、その余の点について判断

するまでもなく、上告人の被上告人に対する損害賠償請求は失当である旨判断して

いる。しかし、その挙示の証拠をみるに本件売買契約に右判示の如き解除条件が付

せられているものであることを明示した証拠は見当らない。而して、本件売買の目

的土地のうち田の部分を除いた残余の部分が僅少であるとか、その部分だけでは買

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主たる上告人において契約による土地取得の目的を達することができないとか、逆

に売主たる被上告人はg番のhの田のうち売買の目的とされない部分の所有権を取

得できないかぎり残余の売買目的部分を売却するわけにはいかないとかの事情が存

し、右事情が契約当事者双方の間に了解せられていたような事実でもあれば格別、

原審はこれらの諸事情について審理、判断することなく、かえつて原判決の確定す

るところによれば、売買契約の対象となつた田の部分は目的物件七〇坪の一部にす

ぎないことがうかがわれ、右田を除いた残余の部分をもつても土地利用の目的を達

することができないともいえないから、目的物が可分である本件においては、目的

物中田の部分について被上告人がその所有権を取得できないことになつても、上告

人に対しその部分については契約の履行をすることができなくなることあるは格別、

残余の部分については経験則上契約の効力に影響を及ぼさないものと解すべき余地

がないではない。

しかるに、これと異り、本件契約はその目的物の全部に関し判示のごとき解除条

件が付されていたとする原審の認定は経験則に反し、解除条件付契約であることを

うかがわしめるに足りる諸事情についての審理、判断を怠つた違法があり、右違法

は判決に影響を及ぼすこと明らかである。それ故、この点に関する論旨は理由があ

る。

よつて、原判決中、上告人の予備的請求を棄却した部分を破棄し、さらに審理を

尽くさせるため右部分を原審に差し戻すこととし、その余の部分につき本件上告を

棄却すべきものとし、民訴法四〇七条一項、三九六条、三八四条、九五条、八九条

に従い、裁判官全員の一致により、主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 草 鹿 浅 之 介

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裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

裁判官 色 川 幸 太 郎

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