最高裁判所第二小法廷 昭和43(あ)1424 決定
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人谷口義弘の上告趣意は、単なる訴訟法違反、事実誤認、量刑不当の主張で
あつて、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。(なお、原判決が、第一審判決
判示第一の酩酊運転禁止違反の事実につき、「原審で取り調べた全証拠を検討する
も、被告人の運転状況に照らして正常な運転ができないおそれがある状態にあつた
ことを明白に顕示していると断定するに足りるものはない」としながら、同判示第
二のこれと同一の機会における業務上過失傷害の事実につき、第一審判決挙示の各
証拠により、「被告人は、運転開始前の飲酒による酔いのため確実な前方注視が困
難な状態となつていた」、「酔いのため、前方注視を欠いて進行した」と認定した
のは、理由齟齬の違法があるといわなければならないけれども、原判決は、結局、
被告人が第一審判決判示第一の運転時に、呼気一リツトルにつき〇・二五ミリグラ
ム以上のアルコールを保有していたことを認めるに足りる証拠はないとの理由によ
り、右第一の事実につき無罪の言渡をしたものであることが判文上明らかであるの
みならず、記録に徴すれば、本件傷害の事故は、被告人が運転開始前の飲酒による
酔いのため、前方注視が困難な状態となつていたのであるから、自動車の運転を回
避し事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があるにかかわらず、これを
怠つた過失に基づくものであるとの原判断は相当と認められ、原判決の右の違法は、
いまだ判決に影響を及ぼすものとは認められない。)
よつて、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり決定する。
昭和四四年五月二八日
最高裁判所第二小法廷
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裁判長裁判官 城 戸 芳 彦
裁判官 色 川 幸 郎
裁判官 村 上 朝 一
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