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最高裁判所第二小法廷 昭和43(オ)552 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人田辺俊明の上告理由第一点について。

被上告人(原告)が、民法四二三条により訴外Dないしその相続人である訴外E

ほか五名に代位して、上告人(被告)に対し、右訴外人らに帰属する求償権を主張

する訴訟と、被上告人が、その訴訟の係属中に右訴外人らから右求償権を譲り受け

たうえ、上告人に対し、これを自己の権利として主張する訴訟との間には、その目

的たる権利、すなわち、その訴訟物に同一性のあることが認められるから、訴訟行

為の形式上、前訴の提起後これを後訴に変更する手続がとられた場合においても、

実質上は、単に被上告人の訴訟追行資格に変更が生じるにすぎず、訴訟物自体には

何らの変更も生じないものと解するのが相当であつて、右変更手続によつては、前

訴の取下の効果は発生せず、したがつて、前訴の提起にもとづく右求償権の消滅時

効中断の効果も消滅しないと解するのが相当である。以上と同旨に出た原審の解釈

判断は正当であつて、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解を主張する

ものにすぎず、採用することができない。

同第二点について。

訴外Eほか五名と被上告人との間になされた本件求償権の譲渡契約が信託法一一

条にいう訴訟行為をさせることを主たる目的とした信託行為であつたとは認められ

ないとした原審の認定判断は、本件記録に徴し、正当として首肯することができな

いわけではない。論旨は、ひつきよう、原審の適法にした証拠の取捨判断および事

実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

同第三点について。

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上告人がその相殺の抗弁の自働債権として主張した、訴外Dの不法行為による損

害賠償請求権が成立した事実は肯定することができないとした原審の認定判断は、

原判決挙示の証拠関係および本件記録に照らし、正当として是認することができな

いわけではない。論旨も、ひつきよう、原審の適法にした証拠の取捨判断および事

実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 草 鹿 浅 之 介

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 色 川 幸 太 郎

裁判官 村 上 朝 一

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