大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和44(あ)581 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人本人の上告趣意は、単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、上告適法

の理由にあたらない。

弁護人中島忠三郎、同市川照己の上告趣意第一のうち、違憲(三七条二項、三項

違反)をいう点について。

憲法三七条二項の規定が、反対尋問の機会を与えない証人その他の者の供述を録

取した書類は絶対に証拠とすることができないという意味を含むものでないこと、

および刑訴法二二八条二項において、同条の証人尋問に被告人、被疑者または弁護

人の立会を任意にしたことが右憲法の条項に反するものでないことは、当裁判所の

判例(昭和二四年五月一八日大法廷判決・刑集三巻六号七九八頁、同二七年六月一

八日大法廷判決・刑集六巻六号八〇〇頁)とするところである。そして、記録によ

ると、証人Aは、第一審第五回、第六回および第二四回公判廷において尋問され、

被告人側の反対尋問にさらされ、しかも右第二四回公判廷においては、所論の証人

調書についても尋問を受けているのであつて、これを証拠にした原判決が憲法三七

条二項、三項に違反するものでないことは、当裁判所の判例(昭和二五年一〇月四

日大法廷決定・刑集四巻一〇号一八六六頁)の趣旨に照らして明らかである。

同第一のその余の論旨は、単なる法令違反の主張であつて、上告適法の理由にあ

たらない。なお、刑訴法二二三条一項にいう被疑者とは、当該被疑者を指称し、こ

れと共犯関係にある他の者を含まないと解すべきであるから、所論Aを被疑者以外

の者として証人尋問をしたのは相当である。

同第二、第三、第四は、単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、上告適法の

理由にあたらない。

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弁護人前堀政幸、同三木今二、同大塚正民の上告趣意第一点の(一)ないし(五)

は、上告申立のなかつた証憑湮滅教唆被告事件にかかる原判決を論難するもので、

適法な上告理由とならない。

同第一点の(六)は、違憲(二九条違反)をいう点もあるが、実質は単なる法令

違反の主張を出ないものであつて、上告適法の理由にあたらない。

同第二、第三点のうち、判例違反をいう点は、原判決は、所論の点についてはな

んらの判断も示していないものであるから、前提を欠き、その余は、単なる法令違

反の主張であつて、いずれも上告適法の理由にあたらない。原審が、第一審判決が

無罪の理由とした、被告人が現金一〇万円を選挙運動の報酬と認識していたか否か

の点に向けた証人四名を取調べたうえ、第一審判決を破棄してみずから有罪の判決

をしたのは相当である。

同第四点は、単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、上告適法の理由にあた

らない。

なお、原判決が、法令の適用において、被告人の判示所為を、「公職選挙法二二

一条一項一号」にあたるとしたのは、「公職選挙幸法二二一条一項四号」の誤記と

認められる。

また、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて、同法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

昭和四四年七月一一日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 色 川 幸 太 郎

裁判官 村 上 朝 一

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