最高裁判所第二小法廷 昭和44(さ)1 判決
主 文
松戸簡易裁判所が、被告人に対し、昭和四四年二月一九日にした略式命
令を破棄する。
被告人を免訴する。
理 由
本件記録によると、松戸簡易裁判所は、昭和四四年一月二七日付の略式命令請求
により、同年二月一九日に、「被告人は、昭和四三年一〇月一八日午後一時五一分
ごろ、越谷市abc番地付近の道路において、法定の最高速度である毎時六〇キロ
メートルをこえる九六キロメートルの速度で、普通乗用自動車(A号)を運転した
ものである。」との犯罪事実を認定し、道路交通法六八条、二二条一項、一一八条
一項三号、同法施行令一一条、刑法一八条、罰金等臨時措置法二条を適用して、「
被告人を罰金二万円(換刑一日五〇〇円)に処する。」旨の略式命令をし、右命令
は、昭和四四年二月二〇日被告人に送達され、法定期間の経過により同年三月七日
確定したものであること、およびこれより先の昭和四三年一〇月二五日に、越谷簡
易裁判所が、右と全く同一の事実につき、右各法令のほか刑訴法三四八条を適用し
て、「被告人を罰金二万円(換刑一日二五〇円)に処する。右罰金を仮に納付する
ことを命ずる。」旨の略式命令をし、右命令は、法定期間の経過により同年一一月
九日確定したものであることが明らかである。
そうすると、越谷簡易裁判所のした略式命令の確定後に、さらに略式命令の請求
を受けた松戸簡易裁判所としては、刑訴法四六三条一項により、これを通常手続に
移したうえ、同法三三七条一号により、免訴の言渡をなすべきであつたといわなけ
ればならない。しかるに同裁判所は、このような手続をすることなく、前記のよう
に、重ねて略式命令をしたのであるから、これが法令に違反し、被告人のために不
利益であることは、まことに明白である。
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よつて、刑訴法四五八条一号、三三七条一号により、裁判官全員一致の意見で、
主文のとおり判決する。
検察官梶川俊吉 公判出席
昭和四四年一〇月三日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 草 鹿 浅 之 介
裁判官 城 戸 芳 彦
裁判官 色 川 幸 太 郎
裁判官 村 上 朝 一
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