最高裁判所第二小法廷 昭和48(オ)277 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人吉田正文の上告理由第一点について。
原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)の挙示する証拠によれば、
本件土地上に被上告人が所有していた社殿等が戦災に困り消滅したところ、戦後上
告人がこれらの建物を再建して所有するに至つたので、被上告人は上告人に対し、
上告人が被上告人の末社として右再建建物により神社としての活動をすることを目
的として本件土地を無償貸与したものである旨の原審の認定は、これを肯認するこ
とができる。また、原審の適法に確定したところによれば、(1)上告人は、その前
身である教会所が明治八年頃本件土地上に設立され、その後被上告人の境外地末社
たる神社に昇格し、更にその後無格の神社として法人格を取得した後においても、
引き続き被上告人との間における本社、末社の関係を維持し、(2)被上告人の任命
した末社詰員が上告人の前身または上告人の代表者となつて、被上告人の所有にか
かる本件士地、地上の社殿および境外地を被上告人のために管理していたものであ
り、(3)上告人は終戦後本件土地上の社殿を再建して前記のように被上告人から本
件土地の無償貸与を受けたのち、昭和二八年一月二一日宗教法人法に基づき独立の
宗教法人として設立登記を経由したうえ、被上告人との間の本社、末社の関係を維
持することを拒絶しながら、他面、社殿の移転に要する一切の費用として三〇〇〇
万円を提供する旨の被上告人の申し入れを拒否して、本件土地の明け渡しに応じな
いというのである。以上の事実関係のもとにおいては、被上告人は本件土地に関す
る前記使用貸借契約を解約することができる旨の原審の判断は相当であり、右判断
の過程に所論の違法はない。�
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なお、所論は、被上告人による右契約の解約は憲法二〇条に違反し無効であると
主張するが、かかる主張は名を憲法違反にかりて単に右解約が権利の濫用であるこ
とを主張するにすぎないものであるところ、被上告人の本訴請求が権利の濫用に当
たらないとする原審の判断は、その確定した事実関係に照らし、これを肯認しうる
から、右の主張もまた理由がない。論旨は採用することができない。
同第二、三点について。
所論指摘の各点に関する原審の認定判断は、その挙示する証拠に照らし肯認する
ことができ、所論指摘の法令は右認定を妨げるに足るものではない。
所論はいずれも理由がなく、論旨は採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 大 塚 喜 一 郎
裁判官 岡 原 昌 男
裁判官 小 川 信 雄
裁判官 吉 田 豊
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