大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和55(あ)493 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人本人の上告趣意第一点は、判例違反をいうが、その実質は事実誤認、単な

る法令違反の主張であり、同第二点は、違憲をいう点を含め、実質は単なる法令違

反、事実誤認、量刑不当の主張であり、同第三点は、憲法三一条違反をいうが、実

質は単なる法令違反の主張であり、同第四点及び同第五点は、事実誤認の主張であ

つて、いずれも適法な上告理由にあたらない。同第六点は、死刑を定めた刑法一九

九条の規定が憲法一四条、一三条、三六条、二六条一項に違反するというが、所論

の刑法の規定が憲法の右各条項に違反しないことは、当裁判所の判例(昭和二二年

(れ)第一一九号同二三年三月一二日大法廷判決・刑集二巻三号一九一頁)の趣旨

とするところであるから、所論は理由がない。同第七点は、量刑不当の主張であつ

て、適法な上告理由にあたらない。

弁護人長谷川武弘の上告趣意第一点は、憲法三一条違反をいうが、実質は単なる

法令違反の主張であり、同第二点は、単なる法令違反の主張であり、同第三点は、

事実誤認の主張であり、同第四点は、量刑不当の主張であつて、いずれも適法な上

告理由にあたらない。

また、記録を精査しても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない(

原審が本件殺人の犯行時における責任能力を肯定したことは、本件証拠に照らし是

認することができる。本件殺人の犯行は、周囲の諌言を聴きいれずに家業を怠り、

多額の借財を抱えながら多数の女性と無軌道な関係を続けてきた被告人が、生活に

行き詰まり、女性の一人を連れて逃避行に出たが連れ戻され、同女がその知人方に

保護されるや、またも同女を連れ出そうとして、それを妨げた同女の妹や右知人を

あらかじめ携帯していた包丁をもつて突き刺し、さらに連れ出されるのを拒んだ同

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女をも突き刺し、もつて、何ら落度のない無抵抗の女性三名を次々と殺害したもの

であつて、その動機に酌むべきものがなく、犯行の態様は残虐で、結果は極めて重

大悲惨であり、被害者の家族に与えた影響が深刻であることなどに照らすと、被告

人が前記逃避行等により心身が疲労していたことや、その不幸な生育歴等を考慮し

ても、被告人の罪責はまことに重大であり、原判決が維持した第一審判決の死刑の

科刑は、当裁判所もこれを是認せざるをえない。)。

よつて、同法四一四条、三九六条、一八一条一項但書により、裁判官全員一致の

意見で、主文のとおり判決する。

(検察官生駒啓 公判出席)

昭和六〇年四月二六日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 牧 圭 次

裁判官 木 下 忠 良

裁判官 鹽 野 宜 慶

裁判官 大 橋 進

裁判官 島 谷 六 郎

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