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最高裁判所第二小法廷 昭和56(オ)73 判決

主 文

原判決のうち被上告人Bの上告人A1に対する請求を認容した部分を破

棄し、第一審判決のうち右請求に関する部分を取り消す。

原判決のうち被上告人Bの上告人A2及び上告人A3に対する請求を認

容した部分を破棄する。

前一、二項の部分に関する被上告人Bの請求をいずれも棄却する。

上告人らのその余の上告を棄却する。

上告人A1と被上告人Bとの間の総費用並びに上告人A2及び上告人A

3と被上告人Bとの間の原審及び当審の訴訟費用は被上告人Bの負担とし、前項の

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

一 昭和五六年(オ)第七五号上告代理人城下利雄の上告理由第一について

原審が適法に確定したところによれば、(1) 本件土地はもとDの所有であつた

が、同人が昭和四一年五月二一日死亡したため、同人の妻被上告人Bは、その子ら

とともに本件土地を相続した、(2) 被上告人Bは、本件土地については三分の一

の持分しか取得しなかつたにもかかわらず、昭和四四年九月一一日本件土地につい

て自己の単独相続による所有権移転登記を経由し、これを前提として、昭和四五年

四月上告人A1に対し、同上告人は、昭和四六年一一月上告人A2に対し、同上告

人は、昭和五〇年六月上告人A3に対し、順次本件土地を売り渡していずれもその

所有権移転登記を経由した、というのである。右事実関係のもとにおいては、被上

告人Bは、上告人A3に対し、自己の持分を超える部分についての右所有権移転が

無効であると主張して、その抹消(更正)登記手続を請求することは、信義則に照

らして許されないものと解するのが相当である(最高裁昭和四〇年(オ)第七二〇

号同四二年四月七日第二小法廷判決・民集二一巻三号五五一頁参照)。

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そうすると、被上告人Bの上告人A3に対する本件土地についての所有権移転登

記の抹消登記請求を一部認容した原判決には法令の解釈適用を誤つた違法があると

いわなければならず、右違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるか

ら、論旨は、この点において理由がある。それゆえ、原判決のうち被上告人Bの上

告人A3に対する請求を認容した部分を破棄したうえ、右請求部分を失当として棄

却すべきである。

同第二について

原審が適法に確定した事実関係のもとにおいては、所論の点に関する原審の判断

は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の

見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。

二 昭和五六年(オ)第七三号上告代理人関根潔の上告理由について

所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論

の違法はない。論旨は、採用することができない。

三 昭和五六年(オ)第七四号上告代理人稲葉泰彦の上告理由について

民法八二六条所定の利益相反する行為にあたるか否かは、当該行為の外形で決す

べきであつて、親権者の意図やその行為の実質的な効果を問題とすべきでないこと

は、当裁判所の判例(最高裁昭和三四年(オ)第一一二八号同三七年一〇月二日第

三小法廷判決・民集一六巻一〇号二〇五九頁、同昭和四〇年(オ)第一四九九号同

四二年四月一八日第三小法廷判決・民集二一巻三号六七一頁)とするところである

から、原審が適法に確定した事実関係のもとにおいて、本件遺産分割の調停が無効

であるとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法

はない。論旨は、採用することができない。

四 昭和五六年(オ)第七三号、同第七四号について

職権をもつて調査するに、原審が適法に確定した前記一の事実関係のもとにおい

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ては、被上告人Bが上告人A1及び上告人A2に対し、自己の持分を超える部分に

ついての右各所有権移転が無効であると主張して、その抹消(更正)登記手続を請

求することは、信義則に照らして許されないものと解するのが相当である。�

そうすると、被上告人Bの上告人A1及び上告人A2に対する本件土地について

の各所有権移転登記の抹消登記請求を一部認容した原判決には法令の解釈適用を誤

つた違法があるといわなければならず、右違法は原判決の結論に影響を及ぼすこと

が明らかであるから、原判決のうち被上告人Bの上告人A1及び上告人A2に対す

る請求を認容した部分を破棄し、第一審判決のうち被上告人Bの上告人A1に対す

る右請求に関する部分を取り消したうえ、右請求部分をいずれも失当として棄却す

べきである。

五 結論

以上の次第であるから、民訴法四〇八条、三九六条、三八六条、三八四条、九六

条、八九条、九二条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決

する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 宮 崎 梧 一

裁判官 栗 本 一 夫

裁判官 木 下 忠 良

裁判官 鹽 野 宜 慶

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