大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和57(あ)165 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人飯田孝朗、同水島正明の上告趣意第一の一ないし三は、刑法一七五条は、

読書の自由を禁圧する点において憲法二一条に違反し、刑罰をもつて表現内容に干

渉する点において憲法一九条に違反し、合理的な処罰根拠を欠く点において憲法三

一条に違反するというのであるが、その理由のないことは、わいせつ文書の出版を

刑法一七五条で処罰しても憲法二一条に違反しないとする当裁判所大法廷判例(昭

和二八年(あ)第一七一三号同三二年三月一三日判決・刑集一一巻三号九九七頁、

同三九年(あ)第三〇五号同四四年一〇月一五日判決・刑集二三巻一〇号一二三九

頁)の趣旨に徴し明らかであり、同第一の四は、刑法一七五条にいう「わいせつ」

の概念は極めてあいまいかつ不明解であるから、同条は罪刑法定主義を規定した憲

法三一条に違反するというのであるが、右「わいせつ」の概念は、あいまいかつ不

明確であるとはいえないから、所論は前提を欠き、同第二は単なる法令違反の主張

であり、同第三は事実誤認の主張であり、いずれも適法な上告理由にあたらず、同

第四は、原判断は、最高裁昭和五四年(あ)第九九八号同五五年一一月二八日第二

小法廷判決・刑集三四巻六号四三三頁に示された「わいせつ」の判断に反するとい

うのであるが、原判決も、結局、「社会通念に基づいて判断した場合に、徒らに性

欲を興奮又は刺戟せしめ、かつ、普通人の正常な羞恥心を害し、善良な性的道義観

念に反する」と認められるものを「わいせつ」とする判断を示しているので、所論

引用の判例と見解を異にするものではないから、判例違反をいう所論は理由のない

ことが明らかである。

よつて、刑訴法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決す

る。

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昭和五九年一二月一七日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 島 谷 六 郎

裁判官 木 下 忠 良

裁判官 鹽 野 宜 慶

裁判官 大 橋 進

裁判官 牧 圭 次

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