大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和57(あ)842 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人本人の上告趣意は、事実誤認、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由

に当たらず、弁護人板倉正の上告趣意は、違憲をいうが、死刑が憲法三六条にいう

残虐な刑罰に当たらないことは当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第一一九号同二

三年三月一二日大法廷判決・刑集二巻三号一九一頁)とするところであるから、所

論は理由がない。

また、所論(弁護人村山廣二の当審弁論における陳述を含む。)にかんがみ、記

録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない(本件は、被告

人が約九か月の間に累行した未成年者誘拐、殺人、死体遺棄、住居侵入、強盗殺人、

強盗、強盗傷人、詐欺、窃盗を内容とする事案であり、ことに尊い人命を二人まで

も奪つた点でまことに重大かつ凶悪な犯行である。本件犯行の動機にも酌量の余地

を見出し得ない。犯行の態様を見ると、誘拐、殺人、死体遺棄の犯行は、被告人が

詐欺事件により指名手配されて内妻と共に逃亡生活を続けるうち宿泊先に困り、内

妻の知人の好意により同人の経営する旅館に長期滞在中、生来の虚言癖から同人の

善意を裏切り、同人の中学三年生の長女を甘言を用いて二度にわたり誘拐して各地

を転々と連れ回つた挙句、同女が被告人の虚言に気付き始め足手まといになつてく

るや、山林内に誘い込み、その頸部を両手で強く絞め付けて殺害した上、暴漢に襲

われたかのように偽装工作をして死体を遺棄したものであつて、非道極まりない。

また、強盗殺人の犯行は、被害者方に侵入して金員を物色中同人に発見されるや、

とつさに同人を殺害して金品を強取しようと決意し、同人を押し倒して馬乗りにな

り、その顔面に掛布団を被せて上から強く押え付け呼吸ができないようにして失神

させ、更に、同人が蘇生しないように電気コードで頸部を絞め付けて殺害し、金品

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を強取したものであつて、犯行の態様は執拗かつ残虐である。殺人、強盗殺人の被

害者らはいずれも家族と共に平穏な生活を送つていた者であり、何の落度もないの

に、被告人の身勝手な動機から一瞬のうちに生命を奪われたのであつて、本件の結

果は重大であり、遺族の被害感情もまた深刻である。以上のような本件犯行の罪質、

動機、態様、結果、遺族の被害感情等に照らすと、被告人が反省していることなど

を考慮しても、被告人の罪責はまことに重大であり、原判決の維持した第一審判決

の死刑の科刑は、当裁判所もこれを是認せざるを得ない。)。

よつて、同法四一四条、三九六条、一八一条一項但書により、裁判官全員一致の

意見で、主文のとおり判決する。

検察官田中豊 公判出席

昭和六二年一二月一八日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 牧 圭 次

裁判官 島 谷 六 郎

裁判官 藤 島 昭

裁判官 香 川 保 一

裁判官 奥 野 久 之

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