大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和60(さ)3 判決

主 文

原略式命令を破棄する。

本件公訴を棄却する。

理 由

記録によると、高知簡易裁判所は、昭和六〇年二月一四日公訴を提起されたAに

対する道路交通法違反被告事件について、同日、「被告人は、高知県公安委員会か

ら原動機付自転車の運転免許証の交付を受けたものであるが、昭和五九年四月二七

日午後一〇時三〇分ころ、高知市ab番地c付近道路において、運転免許証を携帯

しないで、原動機付自転車を運転したものである。」との事実を認定したうえ、道

路交通法九五条一項、一二一条一項一〇号、刑法一八条、罰金等臨時措置法二条、

刑訴法三四八条を適用して、「被告人を科料二、〇〇〇円に処する。これを完納す

ることができないときは、金二、〇〇〇円を一日に換算(端数金額があるときはこ

れを一日に換算する)した期間被告人を労役場に留置する。第一項の金額を仮に納

付することを命ずる。」との略式命令を発付し、右略式命令は、昭和六〇年三月一

日確定したこと、ところが、被告人はこれより先の昭和五九年五月八日に右と同一

の事実に基づき交通反則通告書(告知番号五〇八五六九)により反則金二〇〇〇円

を納付すべき旨の通告を受け、その納付期限内である前同日に右反則金を納付して

いることが認められる。

そうすると、右公訴事実については道路交通法一二八条二項により公訴提起が許

されないのであるから、公訴提起を受けた高知簡易裁判所としては、刑訴法四六三

条一項に従い、事件を通常の手続に移したうえ、同法三三八条四号により公訴棄却

の判決をすべきであつたにもかかわらず、右公訴事実につき有罪を認定して略式命

令を発したものであつて、右略式命令は法令に違反していることが明らかである。

よつて、本件非常上告は理由があり、しかも、原略式命令は被告人のため不利益

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であるから、刑訴法四五八条一号但書により右略式命令を破棄し、同法三三八条四

号により本件公訴を棄却することとし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判

決する。

検察官田中豊 公判出席

昭和六〇年一〇月二八日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 島 谷 六 郎

裁判官 木 下 忠 良

裁判官 大 橋 進

裁判官 牧 圭 次

裁判官 藤 島 昭

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