大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和61(あ)174 判決

主 文

原判決中「当審における未決勾留日数中七〇〇日を原判決の刑に算入す

る。」との部分を破棄する。

原審における未決勾留日数中五五一日を本刑に算入する。

その余の部分に対する本件各上告を棄却する。

理 由

検察官の上告趣意について

記録によれば、被告人は、第一審判決判示第三の殺人の事実につき起訴前である

昭和五七年七月一九日勾留状の執行を受け、その後第一、二審を通じて勾留を継続

されていたものであるが、その間、第一審は、昭和五八年一〇月一九日、被告人を

無期懲役に処し、未決勾留日数中三〇〇日を右刑に算入する旨の判決を言い渡し、

これに対し、被告人が同月二八日控訴を申し立てたところ、原審は、昭和六〇年一

一月二八日、右控訴を棄却するとともに、「当番における未決勾留日数中七〇〇日

を原判決の刑に算入する。」との判決を言い渡したことが明らかである。また、記

録によると、被告人は、昭和五七年五月二八日大阪地方裁判所において、傷害の事

実により懲役一年、三年間刑の執行猶予、保護観察付きの判決の言渡しを受け、同

判決は同年六月一二日確定したが、昭和六〇年四月二五日右刑の執行猶予の言渡し

の取消決定があり、同決定は同年五月一日確定したので、被告人は同日から右刑の

執行を受け始め、原審の判決言渡し当時いまだ右刑につき受刑中であつたことが認

められる。

このように懲役刑の執行と競合する未決勾留日数を刑法二一条によつて本刑に算

入することが違法であることは、所論引用の当裁判所の判例(昭和二九年(あ)第

三八九号同三二年一二月二五日大法廷判決・刑集一一巻一四号三三七七頁、同五五

年(あ)第四〇九号同年七月一八日第二小法廷判決・裁判集刑事二一八号二六三頁、

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同五九年(あ)第二七号同年三月二九日第一小法廷判決・裁判集刑事二三六号四二

九頁)の示すところであるから、原審における未決勾留日数のうち本刑に算入する

ことの許される限度は、被告人が控訴を申し立てた日である昭和五八年一〇月二八

日から右刑の執行開始日の前日である昭和六〇年四月三〇日までの五五一日である。

したがつて、原審が右の限度を超えて原審における未決勾留日数を本刑に算入した

のは、刑法二一条の適用について右判例と相反する判断をしたものといわなければ

ならず、論旨は理由がある。

なお、原判決中その余の部分に対する検察官の上告は、上告趣意としてなんらの

主張がなく、したがつて、その理由がないことに帰する。

弁護人佐々木哲藏の上告趣意について

所論は、事実誤認、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由に当たらない。

よつて、刑訴法四〇五条二号、四一〇条一項本文、四一三条但書により、原判決

中「当審における未決勾留日数中七〇〇日を原判決の刑に算入する。」との部分を

破棄し、刑法二一条により原審における未決勾留日数中五五一日を本刑に算入し、

原判決中その余の部分に対する各上告は、刑訴法四一四条、三九六条により棄却す

ることとし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

検察官山口悠介 公判出席

昭和六三年三月一四日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 香 川 保 一

裁判官 牧 圭 次

裁判官 島 谷 六 郎

裁判官 藤 島 昭

裁判官 奥 野 久 之

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