札幌地方裁判所 平成10年(ワ)1965号 判決 1998年10月01日
呼称
原告
氏名又は名称
ルイ ヴィトン マルチェ
住所又は居所
フランス国 パリ 七五〇〇一 ルュ デュ ポン ヌフ 二
代理人弁護士
高松薫
代理人弁護士
岡本好司
代理人弁護士
鈴木銀治郎
代理人弁護士
中野通明
代理人弁護士
鈴岡正
代理人弁護士
上沼紫野
復代理人弁護士
前田則政
呼称
被告
氏名又は名称
平野忠敏
住所又は居所
北海道札幌市中央区南九条西三丁目二番地一号 マジソンハイツ二〇二号室
主文
一 被告は、原告に対し、一二一万七〇〇〇円及びこれに対する平成一〇年八月二一日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。
二 訴訟費用は被告の負担とする。
三 この判決は仮に執行することができる。
事実及び理由
一 原告は、主文同旨の判決を求め、次のとおり請求原因を述べた。
1 原告は、かばん類、袋物等、アクセサリー等及び被服等の製造、販売を業とするフランス国の法人である。
2 原告は、次のとおり、別紙表章目録(一)ないし(四)記載の各表章(以下、同目録記載の番号に従い、「本件表章(一)」ないし「本件表章(四)」という。)について、別紙商標権目録(1)ないし(7)記載の各商標権(以下、同目録記載の番号に従い、「本件商標権(1)」ないし「本件商標権(7)」という。)を有する。
(一) 本件表章(一)について 本件商標権(1)及び本件商標権(5)
(二) 本件表章(二)について 本件商標権(2)及び本件商標権(6)
(三) 本件表章(三)について 本件商標権(3)及び本件商標権(7)
(四) 本件表章(四)について 本件商標権(4)
3 原告が本件表章(一)ないし本件表章(四)を用いて製造、販売する商品は、一般に「ルイ・ヴィトン」と呼ばれ、世界の超一流ブランドとして国際的に著名であり、日本においても極めて著名である。このうち、本件表章(一)ないし本件表章(三)は遅くとも昭和五二年当初に、また、本件表章(四)は遅くとも平成三年当初に、それぞれ日本において広く認識され、著名となっている。
4 被告は、次のとおり、原告の有する本件商標権(1)ないし本件商標権(7)を侵害する行為(以下「本件侵害行為」という。)をした。
(一) 被告は、平成八年一月ころから同年七月ころまでの間、本件表章(一)ないし本件表章(四)に類似するものを使用した原告の商品に類似するかばん類一一点(以下「本件かばん類」という。)を札幌市中央区南九条西三丁目二番地一号マジソンハイツ二〇二号室ほかにおいて第三者に販売し、本件商標権(1)ないし(4)を侵害し、原告の商品と混同を生ぜしめる行為をした。
(二) 被告は、平成八年一月ころから同年七月ころまでの間、本件表章(一)ないし本件表章(三)に類似するものを使用した原告の商品に類似する帽子三点(以下「本件帽子」という。)を前記二〇二号室ほかにおいて第三者に販売し、本件商標権(5)ないし(7)を侵害し、原告の商品と混同を生ぜしめる行為をした。
5 原告は、本件侵害行為により、次のとおりの損害を被った。
(一) 原告の受けた利益相当額の損害(商標法三八条一項) 一万七〇〇〇円
被告は、本件かばん類の販売により少なくとも一万四〇〇〇円の利益を得、本件帽子の販売により少なくとも三〇〇〇円の利益を得た。
(二) 信用毀損による無形損害 一〇〇万円
原告は、フランスにおいて製造した原告製品のみを原告の日本における子会社が直輸入し、これを子会社の直営店六店及び限定された特約店三一店において販売するなどして、本件表章(一)ないし本件表章(四)の信用維持に努めている。その結果、これらの表章は日本国内でも強力な顧客吸引力を有しており、原告製品に対する需要者の信頼は厚い。
本件侵害行為は、原告のこのような信用を毀損する行為であり、しかも模倣性が強いこと等からすれば、これによって原告が無形の損害を被ることは明らかであり、その額は一〇〇万円を下らない。
(三) 弁護士費用 二〇万円
6 よって、原告は、被告に対し、右損害の合計一二一万七〇〇〇円及びこれに対する平成一〇年八月二一日(訴状送達の日の翌日)から支払済みに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
二 被告は、適式の呼出しを受けながら、本件口頭弁論期日に出頭しないし、答弁書その他の準備書面も提出しないから、請求原因事実を明らかに争わないものと認め、これを自白したものとみなす。
三 右事実によれば、原告の本訴請求は理由があるからこれを認容し、主文のとおり判決する。
(口頭弁論終結の日 平成一〇年九月二四日)
(裁判官 笠井勝彦)
更正決定
原告 ルイ ヴィトン マルチェ
被告 平泉忠敏
右当事者間の当庁平成一〇年ワ第一九六五号損害賠償請求事件につき、平成一〇年一〇月一日言渡しの判決につき、明白な誤りがあるから、職権により、次のとおり決定する。
主文
当事者の表示中、被告の氏名を
「平野忠敏」とあるのを
「平泉忠敏」と更正する。
平成一〇年一〇月六日